景気指標を読み解き経営に活かす方法
モノ情報から景気を読み解く
ファイナンシャルプランナー
長谷 剛史
本日の指標
今回は、ヒト・モノ・カネの内「モノ」に関する主な指標を見ていきます。
生産や在庫・GDPの大半を占める消費支出・設備投資の指標をチェックすることにより、
今後の景気を読み経営に活かすことができます。
① 製品在庫率指数
国内の景気指標で最も重要な数字は、『本日の指標』で黄色の「鉱工業指数」です。
経済産業省から1か月遅れで発表されます。
基準年の2005年を100として指数化したもので、産業界全体の動向を示しています。
特に重視するのは、一番右にある「製品在庫率指数」で、
景気が悪化するときは在庫が増加することになります。
リーマンショク後在庫が積みあがり、その後少しずつ解消していったのがわかります。
1年度4月に126.6と高い数字になったのは、
東日本大震災の自粛ムードでモノが一時的に売れなくなったことが
一つの原因として挙げることができます。
ここ数か月は110前後で推移しています。
② 稼働率指数製造工業
在庫だけではなく生産の状況も見る必要がありますので、
『本日の指標』で桃色の「稼働率指数製造工業」を確認します。
設備の稼働率を指数化したものになります。
11年度は順調に生産が回復してここ数か月は90を超えてきています。
在庫が減少し生産が回復していますので、景気が拡大局面であることを示しています。
③ 消費支出
日本のGDPは500兆円弱です。
その内訳は、個人消費55%・設備投資20%となっています。
つまり、最も大きい個人消費は275兆円・設備投資は100兆円になります。
ですから、個人消費と設備投資の状況を見れば今の景気を確認し、
今後の景気を予測することができます。
個人消費の数字を見る指標は、『本日の指標』で緑色の「消費支出」になります。
この数字は総務省が単身世帯を除く2人以上の世帯を対象に
1世帯当たりの支出金額を集計したもので、前年比の増減率を示しています。
11年度は東日本大震災の影響を受け、マイナスの月がほとんどになっており
消費の回復が遅れていることがわかります。
④ 機械受注
設備投資の数字を見る指標は、『本日の指標』で水色の「機械受注」になります。
企業が設備投資のための機械を発注したときを捉えますので、
設備投資の先行きを見る先行指標になっており、前年比の増減率が掲載されています。
11年度は毎月プラスになり2桁の伸びを記録している月もあります。
設備投資に関しては、最悪期を抜け出し景気回復に貢献しているということが言えます。
日本の景気を先読みし経営に活かすために、
今回取り上げた「モノ」に関する指標の動向は是非チェックしてください。
今後の売上予想・設備投資時期等にも活かすことができます。
第5回は、ヒト・モノ・カネの内、「カネ」に関する景気指標を見ていきますので、
楽しみにお待ちくださいね。
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