景気指標を読み解き経営に活かす方法
景気指標を読み解くための前提~
ファイナンシャルプランナー
長谷 剛史
今回は、景気指標を読み解くための前提である
「正確で役立つ情報の3つの要素」と「景気は三気で読む」ことをお伝えします。
この内容を頭の中に留めていれば、
生産や在庫調整・設備投資や借り入れ時期等を判断するときの参考になりますし、
今後の景気を読み経営に活かすことができます。
① 正確で役立つ情報
単なるうわさや曖昧な情報は害になりますので、
情報を活かすにはまず正確で役立つ情報を取ることが大切です。
正確で役立つ情報には、次の3つの要素が必要になります。
(1) 出 所 … どこが出した情報なのか、出所が明確であること。
(2) 時間・数量 … いつのことで、どのくらいの数字なのか、その裏付けがあること。
(3) 目的・性格 … どんな目的で、どのような性格の情報なのか、鮮明であること。
この3点がクリアされている情報が「インテリジェンス」です。
つまり、対応策を取るのに役立つ情報ということです。
逆にこれらが明確でない情報は「インフォメーション」と呼ばれる情報で、
ただ流れているだけの情報です。
例えば、台風情報を考えてみましょう。
出所は気象庁、時間や数量はいつの時点での情報なのか、
気圧や風速・速度や進路といった数量もきちんと伝えています。
そして、雨台風なのか風台風かという性格もわかります。
インテリジェンスな情報を取って初めて、その情報を活かすことができるということを
忘れないでください。
最近はネットで情報収集する方が増加していますが、
この3つの要素が含まれているのか、特に出所に注目しないと
間違った判断をしてしまう可能性がありますので注意してください。
② 景気は三気
景気は、「人気」・「元気」・「天気」で読みます。
(1) 人気 … 人気のある商品は何か、
その商品を売っているのはどの企業かということ。
(2) 元気 … 「人気」と通じるところがありますが、
今後の元気を支えるのは、やはり「内需」ということ。
人気・元気については、普段から身の回りのことについて、少し意識するだけで
景気を読みとることができます。
例えば、百貨店やスーパーで買い物をしたときに、
人の入りや何が売れているのか?売れている商品はどこの会社のものなのか?を観察して、
それらに「変化」がないかを感じることになります。
飲食店なども同じように考えることができます。
また、最近はグローバル世界になっていますので、
日本の景気は海外の景気の影響を受けます。
特に成長著しいアジアに注目し、日本を含めた「アジア内需」と捉え、
上記のような視点を持つと景気の先行きを見るのに役立つと思います。
(3) 天気 … 猛暑や暖冬等半年先・1年先の天気を読めれば
景気を類推することができること。
毎月10日、気象庁のホームページに「エルニーニョ監視速報」という
情報が出ますのでチェックしてみてください。
エルニーニョとはペルー沖の海水温が上昇し、日本に冷夏暖冬をもたらす現象で、
この現象が発生すると景気が後退します。
なぜなら、暑い季節に暑く・寒い季節に寒くならないと、
季節商品の売上に影響が出るため、企業の利益が落ち込み景気が後退するからです。
エルニーニョとは逆に、ペルー沖の海水温が低下し、日本に猛暑・厳冬をもたらすのが
ラニーニャ現象です。
2年前の猛暑・厳冬はこのラニーニャ現象が大きく影響しています。
さて、今回で全6回の「景気指標を読み経営に活かす方法」は、最終回になります。
最後までお読みいただき感謝しております。
皆さんが、景気指標を読み解き経営に活かされることによって、
事業を発展されることを心よりお祈りしております。
[完]