人事制度を問い直す

戦略組織コンサルティング合同会社 代表

関西大学 大学院 商学研究科 非常勤講師

村上 統朗

中小企業に人事制度は必要か

人事制度構築必要度チェック

まず、以下の20項目のうち、当てはまるものに丸をつけてみてください。

 

10項目以上当てはまる場合は、経営がうまくなされていない可能性が高く、

人事制度構築が必要もしくは見直すことが必要と言えます。

人事制度とは?

多くの中小企業経営者の方が誤解されていることがあります。

 

人事制度は、給与を払うための制度ではありません。

給与を払うための制度は給与(報酬)制度であり、人事制度を構成する一制度です。

 

経営者や社員の給与に対する関心が高いために、自ずとそのような誤解が生じたのかも

しれません。

関心が高いことと、人事制度と給与(報酬)制度を同一視することは全く別の話です。

 

この点をまず認識していただきたいと思います。


では、人事制度とはどのような制度でしょうか?

 

人事制度とは、

「社員のあるべき姿を明確に示し、社員のあるべき姿と社員の現状とのギャップが評価となり

評価に基づいたルール化された給与を払うシステム」と言えます。

 

人事制度を構築するということは、経営者の権力の分権となります。

つまり、人事に関することがルール化され明文化し公表されることで、

経営者もルールに従わざるを得ないからです。

人事制度構築の効果

そのため、権力の分権化に抵抗を示す経営者が多いのは事実です。

 

中小企業経営者の方に人事制度のお話をすると9割近い方から、

「毎日顔を見て働いているのに、そんなこと必要なのか?」

「だれよりも社員のことはわかっている。煩雑な仕組みを導入するとかえって混乱する」

などの反発を受けることがよくあります。

これは本音としては権力の分権化に対する抵抗です。

 

現実には、社員の方にインタビューし、経営者に報告すると、

ほとんどの経営者の方は社員の本音に接して愕然とします。

経営者は社員のことをわかったつもり、知っているつもりになっていても、
実際はほとんど何もわかっていません。

 

人事制度を導入することで、強制的に社員と向き合わなければならなくなります。
社員のことを考えないといけなくなります。

社員と話さなければならなくなります。

 

つまり、経営者の権力を分権化することで、社員との関係を深めることができます。

 

社員を疑い続ける経営からは何も生まれません。

経営者と社員の関係が密な中小企業こそ人事制度が必要なのです。

 

わかったつもり、知っているつもりの経営が成り立つほど今の経営環境は甘くありません。

「企業は人なり」とおっしゃるならば、人事制度に本気で取り組んでいただきたいと思います。

[次へ]

 

分類一覧

メールマガジン登録

弥生会計支援室 名古屋

金融円滑化法,経営改善計画,経営計画,

相続でお困りの方


ページの先頭へ