伸びる会社の人材採用はここが違う!
キャリアコンサルティングセンター
代表 小林 順一
第5回 なぜ内定者に逃げられるのか ~入社日まで熱く繋がっていないと内定辞退は必ず起こる~
10名内定し、9名に逃げられる時代=内定の出し方が問題
中小企業の場合、
会社説明会をいつ開始し、面接をいつやり、内定をいつ出すかは
本当によく考えてやらないと失敗します。
例えば、大企業が説明会や面接をやる前に、
ウチの会社は先行して、短期決戦で学生を確保してしまおうと考えたとします。
そうすると、就活を準備中の学生側にとっては、
第1志望の会社の本番前の「練習試合」になってしまいますから、
会社説明会や面接試験・筆記試験にその感覚で多くの学生が押し掛けるでしょう。
この場合は一流大学の学生も勿論来ます。
ここで、あわてて内定を出すと、まず間違いなく逃げられるでしょう。
逆に、大企業の採用が終わった後で動くのでは
残った学生の取り合いになり余計に難しくなります。
ですから、中小企業の場合、採用期間をあまり限定しないで
「いつでもやっていますよ」という形で門戸を開いておいた方がよいと思います。
そのかわり、来社した一人一人と社長が個別に面談することです。
「密度」の勝負です。これは大企業では絶対にできないことです。
ここで社長は言います。
「当社は今、残業も多いし、社員教育や福利厚生面でも不備が目立つ。
こんな状態だが、10年後はこんな製品群を世に出し、素晴らしい会社にしたい」
「いまこの事業を一緒にやってくれる人を探しているのだ」と。
そして、じっくり学生の資質とやる気を観察するのです。
社長の言にウソや飾りがなく、真心が伝われば、
その学生は最終面接まで来てくれるでしょう。
こうして最終面接の時に(もしこの学生を採用したいのならば)
社長自ら「あなたを採用したい。来てくれますね」と念押しをすればよいのです。
採用通知で学生の心をつかめ!
採用通知の文面にも工夫が必要です。
貴社の採用通知の文面はどうなっているのでしょう。
「あなたを採用することに決定致しました。
出社日は〇月〇日で、集合場所は〇〇〇です」
といった事務連絡だけの紋切り型では学生の心は掴めません。
学生の心を掴んで逃げられないポイントは
- 社長の誠実な人柄がにじみ出るような通知文にすること
(肉筆が最もよいが、要は心を込めること) - これから社会に出る若者への思いやりに溢れた文章にすること
- 当社の将来展望を明記すること
- 相手への将来の期待を込めること
これら4点を頭に入れて書くことです。
なぜこのようにするのかといいますと、
この採用通知は学生本人だけでなく、学生の父母(家族)も見るからなのです。
家族にも「当社の将来のビジョン」や「人を大切にする社風」を伝え、理解して戴き、
強力な味方になって貰うのが不可欠だからです。
必要最低限の入社前懇談会や入社前教育はやるべきです
さて、採用プロジェクトで練った基準を基に採用は終わった、心を込めた通知文も送った。
あとは、入社日を待つだけだ!と、腰を落ち着けたいところですが、
まだそういうわけにはいきません。
ここで何もしないと、内定を出してから数か月の間、内定者は放ったらかしになります。
この期間での内定者の心変わりが危ないのです。
なぜかと言いますと、
この期間は、採用計画未達の他社が学生と接触している可能性が充分あるからです。
また、入社前懇談会や入社前教育は、
大学の教科日程消化を妨害することになる場合があり、しばしば問題になっておりますが、
これを全くやらないと、今度は学生の不安にも繋がり内定辞退ということになりかねません。
ですから、その辺のバランスを考慮し、必要最低限の懇談会や入社前教育をやるべきです。
そして学生との交流の不足を補うため、
人事採用の担当者は、eメールやメールマガジンを通じての会社ニュースなどの情報を
学生に提供したいものです。
中小企業の中にはとてもここまではできないというところもあります。
特に、零細企業ではいささか無理な話かもしれません。
しかし、こうして、やるべきことを、きちんとやることで、
来るべき入社式の日には、
学生があなたの会社にソフトランディング(軟着陸)することになるでしょう。
■以上、中小企業の採用の要点を述べてまいりました。
最後までお読みいただきまして誠に有難うございました。
[完]