取引先を見直す絶好の機会です
リスク管理研究所
高市 幸男
第2回 企業活動と企業データの関係
HRCとは
第1回では、取引先とリスクを洗い出しました。
沢山の取引先とリスクの多さに驚かれたことと思います。
しかし、リスク発生の原因を経営の特徴からみると、
危ないと思われる会社は、僅か6つに大別できるのです。
筆者はこれを高リスク企業「High Risk Company」、
略してHRCと名付けました。
6つのHRCは図表3の通りです。
企業活動と企業データ
これらHRCを見分けるには、
企業活動によって発せられる企業データを分析・評価すればいいのです。
図表4は企業活動を5つに分類し、その構造を表したものです。
① 経営方針・姿勢・・・経営者の性格、能力、欲望など
会社案内やホームページの社長挨拶などに
掲載されているカッコイイものではありません。
経営者が本質的にもっている性格や能力、
欲望など行動の原点となるものです。
企業活動の基本であり全ての活動の原因です。
上部構造の「事業活動」「取引・財務活動」「経理処理」を決定します。
② 商業登記・・・設立年月、資本金、役員など
「経営方針・姿勢」の円からは外れていますが、経営の本質を多分に表します。
ここだけでHRCと判断できる場合もあります。
③事業活動・・・営業種目、扱い品、従業員数、営業所など
事業をすれば自ずとデータが発生します。
事業をしなければデータは発生しません。
データ単独及びデータ間の比較・整合性によって事業内容が評価できます。
④ 取引・財務活動・・・仕入先、外注先、販売先、取引銀行など
取引先の規模や信用度、取引条件は、その企業の信用度を表すバロメータになります。
⑤ 経理処理・・・決算書、キャッシュフロー計算書、財務比率など
決算書は経営分析に最も利用されているポピュラーなデータです。
しかし「経営方針・姿勢」によって簡単に操作・粉飾されるデータでもあります。
下部構造である「事業活動」と「取引・財務活動」が裏付けになり、
逆に言えば「事業活動」と「取引・財務活動」のない決算書は粉飾となります。
各項目の具体的なチェックポイントについては、次回でお話しします。
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