取引先を見直す絶好の機会です
リスク管理研究所
高市 幸男
第4回 リスク損害度の評価
リスク発生による損害額
リスク発生によって想定される損害・被害を
金額に換算します。
計算対象は図表7の通りです。
損害度の計算
同じ損害額でも企業が受けるダメージは、資金力・収益力・財務内容によって区々です。
このため、損害額が自社の耐久力に与える影響を計算し、損害度とします。
問題は「自社の耐久力」を何にするかです。
筆者は、
取引上の損害が直接影響を受けるのは、損害が発生した年度の業績部分であることから、
単年度の経常利益で賄うのが適当であると考えました。
取引上発生するリスクは当期の経常利益でカバーし、
蓄えた利益や資本にまで影響を与えるべきではありません。
経常利益率は財務分析上、収益性の評価に
最も有益かつ重要な指標であると言えます。
また経常利益率は、
図表8の通り倒産発生率との相関関係が認められ、
倒産予測にも使用されています。
損害後の経常利益率を損害度として計算します。
計算式は次の通りです。
(経常利益―損害額)÷売上高×100
損害度の評価
損害度の評価も5段階で分類するのが一般的です。
ここでは、一般的企業の経常利益率と倒産発生率を元に評価を図表9の通り分類しました。
業種・企業によっては
元の経常利益率が全く異なりますので、
自社にとって納得のいく利益率と分類に
変えて下さい。
また、多数の取引先を持つ大手企業では、取引先1社の持つ損害度が低く、
評価できませんので、
営業部や支店、営業所単位で、目標とする単年度の利益を耐久力として計算して下さい。
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