一度は聞いておきたい!どうする?どうなる?マイナンバー
寺尾会計事務所
税理士 寺尾省介
第2回 マイナンバー制度で暮らしは便利になるの?
マイナンバーは、各機関が管理する個人情報が、
同じ人の情報であることを、正確かつスムーズに確認するための基盤になります。
さらに、国や地方公共団体で分散管理する情報の連携がスムーズになり、
メリットをもたらします。
公平・公正な社会の実現
私は税理士という職業柄、納税者から
「こんなにきちんと税金を納めているのに、うまく税金をごまかしている人がいるのでは」
と聞かれることがあります。
そういう納税者の不信を解消し、公平な課税をするために、マイナンバーが活用されます。
また、
「あの人は生活保護を受けているけれど、一定の収入があるのでは」などと
行政が不信を感じたときにマイナンバーを使えば、
その人の収入や不正受給の状況を役所側で効率的に確認することができ、
不正な給付金の受給の防止に役立ちます。
国民の利便性の向上
今、役所で色々な手続きすると、所得証明や住民票などを要求されることも多いですが
マイナンバーを使えば行政機関で直接情報をやり取りすることができるようになるため
私たちの面倒な手間や、手数料の負担が減ります。
今、日本の行政サービスは「申請主義」をとっています。
個人情報を各行政機関ごとに管理し、それらがネットワークにつながっていない現状では
だれにどんな給付や支援が必要であるか、行政の側で判断ができないためです。
たとえば、名古屋市の高齢者支援の一つに、福祉給付金制度があります。
これは、後期高齢者医療の被保険者または70歳以上の方のうち、
一定の条件を満たす方が対象の制度です。この一定の条件の一つに
「ねたきりまたは重度・中度の認知症が3か月以上継続している方で、
本人の所得が一定の範囲の方」というのがあります。
今までは、本人が、自分の所得を証明するための納税証明書を添付したうえで、
名古屋市に申請をしない限り、この福祉給付金は受けられなかったわけです。
ところが、これからマイナンバー制度が始まると、
市町村の側で、給付の条件に適った住民がいると確認でき、
自分から申請しなくても、行政機関からお知らせが届くようになりえるわけです。
行政の効率化
特に行政サービスは、国民一人ひとり1億2千6万人を対象にすることから、
同姓同名の人が存在する可能性があります。
また消えた年金問題に代表されるように、
広範囲の情報を長期間にわたり管理しなければならないことも多いです。
そこで、一人に1つだけ付番されるマイナンバーで管理することで、
ミス防止・ムダ排除され、正確性、迅速性、行政事務の効率化になります。
そうして事務費用が削減されると、
私たちが払う税や、保険料も効果的に利用できるといったことにつながります。
また、災害時における被災者支援の場面では、被災した住民票の住所を移しているのか、
災害時の住民票の住所は災害発生地だったのかを確認できるため、
スピーディな対応が可能になります。
マイナンバーは一生涯にわたり使うことになりますので大切に管理することが必要です。
住所や名前が変わっても、マイナンバーは変わりません。
盗取された場合などに限り変更されます。
具体的に、私たちの生活はどう便利になるのかといわれると、
当初は便利さを実感する場面がそれほどないと思います。
しかし将来的には利用範囲も広がり各種手続きが非常に楽になってくると思います。
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