A4用紙2枚から始める【事業計画書作成講座】
経営コンサルタント
平野貴之
第5回 A4用紙2枚の事業計画書の作成ステップ(経営戦略、経営戦術編)
A4用紙2枚の事業計画書は
「経営理念⇒経営戦略⇒経営戦術⇒5ヶ年の予想損益計算書」の順に作成して
いきますので、次は、経営戦略と経営戦術です。
社長の頭の中をまとめてみよう
経営戦略と経営戦術と言う言葉を聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、
それほど難しく考える必要はありません。
経営者の方とお話していると、
「経営戦略とか経営戦術なんて考えたことがない」と言われる方もいます。
でも、よくよく話を進めていくと、
実は、事業計画書などにまとめたことがないだけで、
全員、経営戦略や戦術を考えていらっしゃいます。
そもそも、経営自体が、それらを考え、実行することだからです。
いわば、
「経営戦略などは経営者の頭の中にはあるけれど、紙にまとめたことがなかった」
だけの話なのです。
ですから、後は、経営者自身のため、従業員のため、銀行や投資家のために
「社長の頭の中の戦略、戦術を分かりやすく翻訳して紙にまとめる」だけなのです。
そもそも経営戦略、経営戦術とは?
では、経営戦略と経営戦術とはいったいどのようなものなのでしょうか?
教科書的な説明は別にして、ここでは、以下のように考えてみてください。
- 経営戦略は5ヶ年の経営全般の方針
- 経営戦術は、経営戦略を具体的な行動計画にしたもの
「事業計画だから、行動計画(戦術)だけで良いのでは?」と思われたかもしれません。
でも、
全体戦略がないと
「どんな手段をとれば良いのか?」と、採るべき戦術に迷ってしまいます。
例えば、
「今、売上を上げるにはどんな戦術(手段:チラシ、ホームページなど)を
使えばよいのか?」と考えた時に、何を根拠に戦術を決定されますか?
「今の市場環境であれば、チラシよりホームページだな」とか、
「うちの業界からすると、チラシの方が有効なのでは」と
考えられるのではないでしょうか。
これが、まさに経営戦略なのです。
まず、
「自社の強み」「自社の弱み」「経済や業界などから影響を受ける機会や脅威」を
考えてみます。
それによって、
「この5年間で、何をやっていけば良いのか?何に力を入れるべきなのか?」の方向性
が分かります。
これが、A4用紙2枚での経営戦略です。難しく考える必要はないのです。
毎年、繰り返し事業計画書を作成していけば、徐々に精度は上げていけるからです。
こうして、経営戦略(強み、弱み、機会、脅威から5ヶ年の方針)を立てたら、
それに基づいて、「この1年間、具体的に何をしていくのか?」を考えてみましょう。
その「具体的に何をしていくのか?」の部分が経営戦術になるのです。
経営戦略、経営戦術は、敢えて難しく考えない
経営戦略も経営戦術も言葉が難しいですし、本格的にやろうとすると奥が深いです。
だから、初めの一歩としてはハードルが高い(=作成しにくい)のです。
経営学に詳しい方からすると、
「こんなの経営戦略でも経営戦術でもない」と思われるかも知れませんが、
「まずは、最初の一歩を踏み出せなければ、どんなに素晴らしい経営戦略でも
実行できない(=結果が付いてこない)」のです。
繰り返しますが、
A4用紙2枚の事業計画書は、
「まずは、自分たちが実行できる」「読み手に伝わる事業計画書」を目指しましょう。
そして、一度作成して終わりでなく、
毎年、ブレッシュアップしながらより良い事業計画書にしていけば良いのです。
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