フラミッド型組織を構築して、時代に取り残されない組織を作る
ヒューマンパワー研究所代表
高田伸彦
第6回 フラミッド型組織の作り方(2) ガス抜き型のフラミッド型組織
みなさん、こんにちは。
企業や組織の人材開発、組織運営をお手伝いするヒューマンパワー研究所の高田です。
「フラミッド型組織を構築して、時代に取り残されない組織を作る」の6回目(最終回)です。
ここまで
- 企業や組織が、時代の変化のスピードに対応しきれなくなり、
その結果、そこに所属する人材たちの能力を不満に思うようになっている - そういう状況の中でピラミッド型組織も、フラット型組織もメリット、デメリットがある。
- その「いいとこどり」をするのが、フラミッド型組織である
- まずはそのために今あるピラミッド型組織を進化させて強力なものにし、そのうえで
フラット型組織の構築にとりかかろう - そして最終的に、いいとこどりの「フラミッド型組織」を構築しよう。
という話でした。
今回は、その「フラミッド型組織」の2つあるうちのもう1つのあり方
「ガス抜き型フラミッド型組織」の作り方と運用方法について説明します。
これは、平時においてピラミッド型組織をとっていても、
その中に一部フラット型組織を融合して持っている、という形の組織です。
例えば、組織構造は堅牢にピラミッド型には作るものの、それとは別次元で
有志のプロジェクトなどをつくり、そこで自由に発言し、動ける余地を作る、といったことなどがそうです。
こういう組織を作っておくと、
一方では命令一下の粛々とした効率的な組織運営ができる一方で、
市場や現場の現状がトップに上がってくる、
現場は現場の知恵をうまく使って市場対応していく、ということが可能になります。
では、どうやってそういう組織を作ればいいのでしょうか。
「ガス抜き型のフラミッド型組織」の運営方法
ガス抜き型、というとネガティブな印象がありますが、
どうしても所属している人間の緊張感の高いピラミッド型組織を存続させるためにも
「ガス抜き」、つまり自分が「歯車」ではなく「1個人」として自覚し行動できる場は
必要です。
一番いいのは、新規事業や、業務改善、風土改革などの組織を横断したテーマで
プロジェクトを立ち上げることです。
ただしここで大きな注意点があります。
この場合、一番重要なのは、トップマネジメントがこのプロジェクトにしっかり関与し、
その活動をバックアップすることです。
それがないと、ただの「お遊び」、あるいは「サークル活動」になってしまい、
仮に本人たちが真剣に取り組んでいても、企業や組織の中で孤立させてしまう危険性があります。
検討内容の報告は、必ず「直接」トップマネジメントに行うようにし、
そこで問題になったこと、提案され承認された解決策は、
トップマネジメントの命令としてピラミッド型組織に流す、ということです。
また、プロジェクトは原則としては「有志」が手を挙げて参画する、
という形が望ましいですが、
「企業の中で『変人』と言われている人間」
「いつも変わった発言をする人間」
「言いたいことを言って煙たがられている人間」 などを選びいれることも重要です。
そういう人間はピラミッド型組織では「異分子」になりますが、
「フラッミッド型組織」では、
市場の変化を柔軟な目で観察し、企業の問題点、思いもよらない解決策を考え付く
人材であることが多いからです。
これがうまく機能するようになれば、
先に書いたような堅牢なピラミッド型組織であると同時に、
市場対応ができる組織が誕生することになります。
以上、6回にわたって「時代に取り残されない組織を作る」ためには、
どのような組織をどういう順番で作ることが必要か。
そしてその組織の究極の目標の形は「フラミッド型組織」である、ということについて
ご紹介しました。
もちろん、一朝一夕にはできないことですが、これができれば間違いなく、
10年、30年、100年と、「形を柔軟に変えながら」存続する企業を築くことができます。
ぜひ、まず1歩目から始めてみてはいかがでしょうか。
※ 「フラミッド型組織」はヒューマンパワー研究所のオリジナルワードです。
[完]