中小企業の提携戦略
さくらマーケティングサービス
西原弘之
第1回 何事も一社でやるには限界がある
「独りで生き残る事をむずかしくする現代」
IT時代になって経営環境も変わりました。
例えばモノづくりの工場ですと、
最近はたとえ中小企業であってもお客様から通信ネットワークへの接続を要求され、
イーサーキャットなどの通信の勉強が当たり前になっています。
サービス業ですと
訪日外国人のこの5年の急増により旅行者へのサービスを念頭から外せなくなりました。
たとえば飲食ですと、英語のメニューを置いている店がかなり増えてきましたし、
店員の対応も徐々に外国人慣れしてきているようです。
建築業界は、職人の慢性的な不足に悩み教育や採用のコストが重くのしかかる中で
一人親方の立場から抜け出せなかったり、外国人職人を雇ったりしていますし、
ある程度規模のある建設会社でさえ同じく人材不足は深刻です。
そして福祉や介護という労働集約型の産業は
今後ますますその悩みに足を取られることと予測されます。
日本の人口は減ってゆくのです。
ですから、ある意味、上記のような現象は当たり前の事象なのですが、
この変化に追随してゆかねば、中小企業といえども生き残りはむずかしくなります。
「変化についてゆけず滅びた恐竜になるな」
大きいから、強いから、生き残ってゆけるのではありません。
大きくて強かった恐竜は環境変化についてゆけずに滅びました。
同じころにすでにいたとされるゴキブリは
地球環境の変化に追随して今日まで生き残っています。
風に吹かれるススキのように周囲の環境に馴染む者だけが生き残れる、
これは昨今の我が国の大手電機メーカーの実情を見ればお分かりのことと思います。
私が社会に出たころは日本のラジカセは世界で引っ張りだこで
9大商社がラジカセを輸出していた時代がありましたが、
いまや「ラジカセ」という言葉さえ知らない人が多いのです。
当時のラジカセメーカーで生き残っているのは大手2社だけ。
13社あったメーカーはほぼなくなってしまいました。
世界の●●モデル、と言っているうちにその「世界」が激変したことに気づかなかった
大手電機メーカーと同じ道を歩むわけにはいきません。
「中小企業は一人で立ち向かえるのか」
そういう環境変化に、果たして中小企業は自助で立ち向かえるのか。
それは誰が考えても容易ではないことです。
大手企業でもそのように苦戦しているのですから困難のほうが先に予想されてしまいます。
だからと言って手がないというわけではありません。
弱者の戦略として今回は「事業連携」あるいは「企業提携」という方法を
6回の連載でご紹介してゆきたいと思います。
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