中小企業の提携戦略
さくらマーケティングサービス
西原弘之
第4回 互恵関係(WIN-WIN)を成立させよう
「自社にないものを持つ他社との相互利用」
他社と提携する理由にはいくつかありますが、
「自社にないものを他社が持っている、だからそれをお互いに利用しあう。」というのが
最も基本的な提携といえるでしょう。
製造業で言えば、
自社がこれからそろえたいと思っている設備をすでに持っている企業と提携し、
その設備で作った製品を納入してもらえたら、
設備投資なしで製品という果実を手にできます。
昨今、生産者は一定の生産規模を維持するために
製品の設計から試作、量産まで請け負うアウトソーシング・ビジネス(EMS)を
請け負ったり、外注製造者として売り込みをかけたりしていますから、
貴社が発注してくれるのはありがたいはずです。
無論、生産者の利益が乗るので自社で生産するよりも製品原価は高くなりますが、
その代わりに、設備の購入費・維持費・生産人員の人件費・品質維持費といった経費は
持たなくてよいですし、不具合品を作ってしまうリスクからも解放されています。
それらのリスクはすべて生産者が負ってくれるのです。
こうやってWIN-WINの関係(お互いが得をする関係)が成立します。
短期かつ中期で考えたときに、結局このほうが得なのであれば
自社でやるよりも外に任せればよいのです。
「自社の強みを研ぎ澄ますための提携」
より高度な提携のやり方として、
「自社のこだわる部分を磨くために提携に踏み込む」という方法もあります。
経営戦略の中には、自社で必ずやらなければいけないものがあります。
自社の核となる強みの部分、コアコンピータンスです。
そのコアコンピータンスが貴社の技術や人材にあるならば
その部分は自社でしっかり投資して守ってゆく必要があります。
しかし、「自社でやるべき」と決めた技術やサービスを研ぎ澄まそうにも、
その人的資源がないことも中小企業にはしばしばあります。
ですから、
コアコンピータンス以外の部分はこだわりを捨てて
他社の力を大いに利用させてもらえばよいのです。
「こだわり」を捨てて柔軟に経営しよう
あっさり書いたタイトルですが「こだわり」を捨てるのは難しいことです。
特に製造業の場合には独自技術は生命線であり、仕事を取ってくる強みでもあるので
他社との連携を考える時に「こだわり」が真っ先に障害になるケースがあります。
サービス業の場合だと
連携したがために自社の人材が他社に動いてしまうという事もあるでしょう。
自社でやらねばならない部分、こだわる部分が一体どこなのか、
逆に「他社との提携で省けるところはどこなのか」を明確にし、
メリハリをつけて柔軟に舵取りをしてゆきましょう。
[次へ]