契約の基礎知識
大槻経営法律事務所
弁護士・中小企業診断士 大槻 隆
第2回 契約書作成のメリット
では、契約書を作成するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
①紛争の予防・早期解決
契約書に契約当事者間の権利・義務の発生、変更、消滅に関する様々な事項を
記載することによって、契約当事者の法律関係を明確にすることができます。
→ 取引の過程で疑義が生じる可能性が低くなり、紛争の予防に役立ちます。
紛争が生じた際にも、契約書に明記された内容に従って、
早期に紛争解決を図ることが可能となります。
紛争の金銭的・時間的負担を考えると、契約交渉で勝ち取った有利な条件などの利益は
あっという間に吹き飛んでしまいます。
②訴訟における証明の容易化
契約当事者間の紛争が訴訟に発展した場合において、
紛争各当事者の署名(記名・押印)のある契約書は、訴訟における最上の証拠となります。
契約した事実だけでなく、その内容についても証明が容易になります。
但し、紛争時には契約内容は裁判所によって客観的・合理的に判断されますし、
契約書の内容と異なる合意を口頭でしていた場合には、
それを別途証明する必要があります。
③契約の円滑的履行
契約当事者が、契約上の義務を迷うことなく、
より円滑に履行することができるようになります。
④リスク・負担の合理的配分
取引において将来起こりうる様々なリスク・負担を、
契約当事者間において合理的に配分することができます。
契約書作成のメリットには、たとえば上記のようなものがあります。
今回はここまでにしましょう。
次回は、基本契約・個別契約の関係と仮契約について見ていきましょう。
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