部下が育つ人材育成の基礎知識
デライトコンサルティング株式会社
代表取締役 近藤圭伸
第5回 部下育成とPDCAサイクル
PDCAサイクルとは
おなじみのP(計画)→D(実行)→C(チェック・評価)→A(対策)サイクルですが、
仕事の成果をあげるのにも部下を育成するのにも、
こんなにシンプルで成果のでる公式はありません。
しかし、実際はPDCAサイクルを意識して、部下の仕事の管理をしている上司は
あまりいないのです。これは大変もったいないことです。
こんなにもシンプルな公式が回せないはずがないからです。
PDCAサイクルについて再確認すると次のように定義されます。
【PDCAサイクル】
Plan:会社方針を受けて、課題及び目標を設定し、これを具体的な実行計画に落とし込む
Do :実行計画にもとづき、業務を実行する
Check:途中で成果や実行度合の測定・評価・検証をする
Action:評価・検証の結果を分析し、必要に応じて対策(処置・改善・対策)を行う
部下と仕事の目的を共有する
PDCAサイクルを回すときに一番大切なのは、
まずP(計画)を達成するための目的を上司と部下で十分に共有することです。
目的はP(計画)に含まれます。
PDCAサイクルはあくまで手段であり目的ではありません。
目的がはっきりすると
部下はPDCAサイクルを回すことが楽しくなったり、やりがいを見出します。
上司がP(計画)を作成し、部下にD(実行)以下をやらせるのではなく、
できればPから部下を参画させ、目的を共有することが大切です。
PDCAサイクルを回す支援をするだけで部下は自ら成長する
私は経営者から「うちの会社はPDができるのだが、CAが全くできていない」ということを
よく聞かされます。つまりやりっぱなしということです。
それでも何とか利益が出て給料を払えるものですから、
多くの企業はCAを真剣に取り組もうとしません。
儲かっている会社、社員が成長している会社は、やはりCAを丹念に行っています。
CAをするから儲かり、儲かるからますますCAをする余裕がでてきます。
CAができない本当の理由は、P(計画)の立て方と具体化ができていないからです。
Pに時間をかけ具体化されていれば、自ずとCAはできてしまいます。
Pが具体化していないために評価ができず、処置・改善にいたりません。
したがって、
上司は部下と計画づくりに時間をかけPに具体性を持たせることが必要になります。
それができれば部下がPDCAサイクルを回す支援をすればいいだけなのです。
このPDCAサイクルを部下が自ら回す支援をしていれば、
部下は自ら成長のスパイラルを作り出していきます。
部下の育成は上司のもっとも重要な仕事ではありますが、
力んで自分が育ててやろうと手取り足取り指導する必要はありません。
上司は部下ひとり一人の個性に応じて部下が育つ仕事環境をつくり、
仕事の目的を共有してPDCAサイクルを回す支援をすることが、
部下の自律した成長にもっとも効果があると考えます。
要は、PDCAサイクルを通じて、
部下が自分で考えて行動し、問題解決ができる人材になっていくということです。
これまで5回にわたって、部下が育つ人材育成の基本知識についてお伝えしました。
読者の皆さんの知っていることばかりだと思いますが、
なかなか粘り強く継続することは難しいものです。
もう一度、基本に立ち返って基本知識をもとに職場で実践してみてください。
[完]