資金調達したい経営者のための【銀行対応入門講座】
経営コンサルタント
平野貴之
第2回 銀行対応の基本「損益計算書編」
銀行対応(特に、資金調達)の基本として、まずは「損益計算書」を見ていきましょう。
銀行員は「損益計算書」のどこに注目しているのでしょうか?
損益計算書とは?
具体的な話の前に、入門編ですので、「損益計算書」には何が書いてあるかを説明します。
文面の都合上、簡単にお話しますが、「売上と費用と利益」がかいてあります。
でも、ここで初心者にとって、曲者なのが、利益が何種類も出てくることです。
簡単に説明すると・・・
- 売上から原価を引いた利益が(売上-原価)
「売上総利益(粗利)」 - 売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた利益が
「営業利益」 - 営業利益から営業外の損益をプラスマイナスしたものが
「経常利益」 - 経常利益から特別な損益をプラスマイナスしたものが
「税引き前純利益」 - 税金などを引いた後の最終の利益が「当期純利益」
このように、売上と費用と段階ごとの利益が書かれているのです。
損益計算書の中でどこに注目しているのか?
では、この中で何が重要かと言うと、やはり「全部」です。
しかし、どうしても一個だけ選べと言われたら「営業利益」です。
それは、「営業利益とは、本業の営業活動(事業活動)での利益を示しているから」です。
つまり、
営業利益がプラスなら「この会社、本業の営業活動で利益を出せる力がある」と見えますしマイナスなら「本業の営業活動で赤字を出してしまっている会社」と見られるのです。
重要なのは、「売上」や「純利益」じゃないの?と言う方もいます。
確かに、「売上」や「純利益」も重要なのですが、
例えば、「売上が年々伸びていても、利益は減少すること」もありますし、
「最終の純利益が大幅黒字でも、
その要因が固定資産を売却して特別利益が多かっただけで、営業利益はマイナス」という
ケースもあるので、
一つだけに絞るのであれば、
営業利益に注目することが、その企業の状況を把握しやすいのです。
なお、銀行員の方に経常利益が重要と言う方もいます。
銀行借入の利息は営業外費用なので、
「銀行の利息を払えるくらいの営業利益が出ているかどうかを経常利益で見ている」
という意味です。
しかし、
「営業利益が赤字で、たまたまその年の営業外収益(受取配当金など)が多く
経常利益が黒字になった場合」は、やはり、印象はよくありません。
ですから、
経常利益を見ているという方も、実質は営業利益で見ている場合が多いのです。
自社の損益計算書を見てみよう!
自社の損益計算書を見て「営業利益が出ているかどうか」、または
「営業利益が銀行の支払利息を賄えているかどうか」を確認してみてくださいね。
それが銀行取引(新規の融資が出やすいかどうか)の判断材料の一つなのです。
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