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インドネシア編:「インドネシアにジパング発見」-私がアジアに目覚めた訳-
(株)ユアロップ 代表取締役
山田 太郎
今回は、インドネシアのお話です。私がアジアを本当に目指そうと思ったきっかけです
観光の島で金鉱山発見!
「実は、あの山、全て金鉱石なんです」
何の変哲もない岩山、それが何と金を含む金鉱石だというのだ。
何の変哲もない岩山にしか見えないが、これは全て金を含む金鉱山
ここは、インドネシアのロンボク島。
有名なバリ島の隣の島。
最近、この島で現代版「ゴールドラッシュ」が起こっている。
この地域の金鉱山は、5ppm以上の金の含有量を誇る。
つまり、この岩山1トンから5グラムの金が取れる計算だ。
これが本当に全て金の山だとしたら興奮する。
ここは、正にジパングだ!
刹那的なインドネシア人の性格
北米では1ppm以下でも採掘している所がある。
だからこの地域の5ppmは非常に含有量が多い。
「でも、地表から深く掘らないと金でないでしょ?」
「それが、地表からわずか5メートルぐらいの所で取れるんですよ」
先ほどの岩山の上で金鉱石を
掘る人たち
岩の上で、男たちがトンカチやカマを使って石を砕いている。
しかし、ドリルやベルトコンベアーの様なものは見当たらない。
これだけ山々に大規模な穴をあけていても重機もトラックもない。
コツコツ手で掘っているのだ。
「どうして彼らは、重機を使わないのですか?」
「彼らは、金を現金にするとベンツ買ったり、家を良くしたりするんですね」
「そのベンツは、免許もないのに乗り回すもんだからすぐに壊しちゃうんです」
インドネシアでは、日本のように「生産性向上」とか「段取り」とかという概念がない。
そういえば、現地の人を使っている日本人の工場長が問題点を指摘していたのを思い出す。
「インドネシアの人は、刹那主義というか、次にどうしようと考えないんです。
工夫をしたら楽になるとか、生産性があがるとか、考えないのが困ります」
その後、金鉱石は街の単純な作業場で精製される。
単純なドラムで数日間、金鉱石を粉砕して粉状にする。
実はこの機械、日本の粉砕機ならものの2時間もかからない。
日本の機械を入れたら生産性は数十倍なのに。
日本の技術にビジネスにチャンスあり!
粉状の金鉱石は、水銀に混ぜて分離する(アガマン法)。
マンガンとともにその液体を焼くと金が取れる。
これをもう一度焼いて、鮮やかな金の塊を作るのだ。
ドラムで回転させて金鉱石を砕く。
日本の機械ならモノの2時間で終わる。
固められた金の塊(約1グラムほどの金塊。
市価で3000円ほど)
しかし、このアガマン法は非常に厄介な問題を起こす。
水銀が含まれる池。作業場の周りにはこのような猛毒池が点在する
この精製過程で出た水銀がたっぷり含まれる猛毒の水溶液が作業場の近くに流れだし
池のように溜まる。
更に下流域にある民家にも流れ出すのだ。
現地では、金を掘って命を縮めている。
地方政府も規制に乗り出しているが、防ぎようがない。
実は、ここには日本のチャンスがある。
日本には、鉱物の精製法に強力な遠心分離機を使った分解手法がある。
これなら公害が発生しない。
日本の最先端の環境技術なのだ。
地元の知事から日本の環境技術企業を誘致の依頼を受け、
早速、帰国した私は企業にコンタクトを取ってみた。
しかし、あまりいい返事はない。
日本の中小企業にとって、
こんなインドネシアの山奥まで進出することは、とてもハードルが高いのだ。
しかし、国内不況に喘ぐ日本の中小企業にとって市場はそこにある。
そこに住む人々がその技術で救われる。
沸騰するアジアの各地域は、日本の技術、サービス、知恵を求めているのだ。
これが、私が日本を離れてグローバルに、
そして東南アジアで働こうと思ったきっかけなのだ。
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