環境ビジネスに低リスクで参入する方法
情動心理面から、信頼関係を構築する(その1-A) ~商品が売れない理由は?~
情動心理学開発研究所代表
小山 祐敬(ゆうけい)
情動脳の原則(※)を逆手に取ろうとする人間や接客が少なくない現代、人々の購買意欲が刺激されるような信頼感・安心感をどのように構築していくのか、情動心理の観点から見ていきましょう。
※情動脳の原則
喜びを刺激する存在には正の情動(安心感、好感など)が生じる。
喜びを疎外する存在には負の情動(不安感、嫌悪感など)が生じる。
という原則。
商品の売れない理由は?
上司「何故、売れない!努力が足りない!迫力がない!」
部下1「はい、もっと頑張ります!」
部下2「自分は努力しているのに売れない。不況?テリトリー?商品?」
このようなやりとりを、よく販売営業会社で耳にします。
だれも売れない明確な理由が分からず、もっと工夫を、トークを、お客様と会う機会を増やす、という現営業形態の増産が答えとなっているようです。
一方で、営業員の行動量に限界があるため、売上が伸び悩むことになります。
実は、商品の売れない真の原因は、別のところにあるのです。
着目すべきは購買心理
筆者は数十年、心理学研究と共に営業販売に携わってきました。
その中で、購買心理を探るべく、「以前の営業員から何故、買わなかったのか」と質問をしてきました。
ニーズがあり、予算もあるお客様が購入しない主な理由は
「その気にならなかった」「営業員の感じが悪かった」でした。
要するに、購入する側にその場や営業員に対する負の情動(不安・嫌悪感・怒り)が生じているのです。
なぜ負の情動が発生してしまっているのでしょうか?
負の情動発生のメカニズム
誰にでも触れられたくない心の"痛み"はあるものです。
痛みは苦しみをもたらし、苦しみは"喜びを求める衝動"に対して障害となります。
そこで、心を護るための回避行動として、その痛みを生じる兆候が少しでも見えたなら条件反応し、負の情動が発生することになります。
フロイトの愛娘アンナ・フロイトは
これを防衛機制と名づけました。
時にその機能の必要性が増せば、爆発するに至り「こんな、些細なことに何故それほど怒るのか」という結果になります。
信頼感・安心感を築く方法 その1
感情は対象に条件反応して情動という形をとります。
また、上位者が持った情動は下位者の情動に影響を与えます。
そこで、営業員が正の情動を有していれば、その説明を聞くお客様にも正の情動(信頼・安心)が生じる可能性が高いと言えますし、上司が正の情動を有していれば、営業員ひいては、お客様にも正の情動が生じる可能性が高いと言えます。
お客様が正の情動を持てば、商品購入や契約に際して不安が最小限に抑えられ営業が成功する可能性が高くなります。
こうして見てみると、売れない理由は上司自身にもあることになります。
また、上司の役割として、部下の負の情動を整理し、正の情動を伸ばし確立させてやることも重要です。
「そんなこと言われても、なかなか不機嫌や怒りは制御できない」と思われるかもしれません。
次号では、できるだけ、正の情動を持ち続ける方法をみていきましょう。
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