赤字1800万円の小売店が、たった一年で500万円の黒字になったワケ
ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表
梅本泰則
第1回 赤字原因のチェック
老舗のスポーツショップからの相談
3年前のことです。
創業40年のスポーツショップから相談がありました。
業界では名の通ったお店で、年商は5億円を超えています。
地域一番店といっても良いでしょう。
そのお店が、業績が悪化してしまったというのです。
「何か良い手はないでしょうか?」
早速、私はお店を訪問し、経営者とじっくりお話をしました。
そこで、昨年までの決算書を見せていただくことが出来ました。
すると、びっくりです。
業績の悪化どころではありません。
1800万円の赤字が出てしまっているではありませんか。
これは大変です。
赤字の原因
決算書を見て、すぐに原因が分かりました。
一昨年はかろうじて黒字になっています。
しかし、昨年は一昨年に比べて、粗利率が3%も落ちているのです。
これが大きな原因でした。
社長に「粗利率が下がった原因は何ですか」と尋ねても、
よく分からない様子。
おそらく、粗利率を意識しないで売上だけを追いかけていたのでしょう。
こうした場合、
銀行に相談すれば、きっと人件費や広告宣伝費を削れと言われるでしょう。
そして、在庫を削減して資金繰りを良くしましょうと言われるのが落ちです。
私は、そんなアドバイスはしません。
経費や在庫を削ってしまえば、売場や社員に元気がなくなってしまうからです。
そして、それが本質的な解決につながるわけではないからです。
私のとった作戦
そこで、私はまず売上と粗利率を上げる作戦をとることにしました。
とはいえ、
そんなに簡単に売上と粗利が上がるのなら、誰も苦労はしません。
それでも、よく考えれば方法はあります。
私は、さらに社長に尋ねました。
「昨年一年間で、一番売れた商品は何ですか?」
残念ながら、すぐに返答が返ってきません。
これは問題です。
続いて尋ねました。
「では、今お店では商品を値引きして販売していますが、どうしてですか?」
「それは、昔からそういう方針だからです」。
うーん、答えになっていません。
また尋ねました。
「なんだかお店の人に元気がなさそうですが、なぜでしょう?」
「そうですね、スタッフの一人が愚痴ばかりをこぼしているので、
それが悪影響を及ぼしているのかもしれません」。
なるほど。ここにもメスを入れた方がよさそうです。
3つの提案
そこで、私は3つのことを提案して、
ひとまずこの店の窮地を脱しようと考えました。
その3つとは、
- 販売する商品を決める
- 商品を高く売れるようにする
- 社員のやる気を上げるための即効性のある手を打つ
ということです。
もっとも、この方法は、本質的な解決をするものではありません。
まずは、簡単に成果が上がる方法を実践してから、本質的な問題解決に入ることにします。
では、簡単に成果の上がる方法の一番目、「販売する商品を決める」ことからです。
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