赤字1800万円の小売店が、たった一年で500万円の黒字になったワケ
ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表
梅本泰則
第2回 販売する商品を決める
販売データの集計
社長の相談を受けて、まず販売する商品を決めることにしました。
このお店には、幸いPOSが導入されています。
そこで、3種類の昨年度商品別販売データを集計してもらいました。
それは
- 全品番一覧
- カテゴリー(競技)別
- カテゴリー内商品群別
の販売データです。
最初に「全商品一覧販売データ」から見てみることにします。
これは、商品ごとに販売数量合計、売上合計を記載したものです。
それを売上合計金額の多い順から並べ替えます。
ここでパレートの法則の登場です。
ご存知のように、パレートの法則を「売上」に当てはめれば、
「商品売上の8割は、全商品のうちの2割で生み出している」ことになります。
並べ替えてみると、まさにパレートの法則のとおりになりました。
各商品売上の上位から累計して総売上の8割に当たる商品は、
全商品の2割で占められていたのです。
そこで、今後はこの上位2割に当たる商品に特に力を入れていくことを提案しました。
社長は、数字を見ておおいに納得したようです。
カテゴリー別売上の分析
次に、各カテゴリー(競技)別の売上合計表を見ます。
すると、次のようなことが分かりました。
売上1位のカテゴリーはサッカーで、売上全体の36%のシェアです。
以下、野球、ランニング、・・・・と続いていきます。
実は、これまでこのお店はそのことさえしっかりと分かってはいませんでした。
何のためのPOSなのかと思ってしまいます。
数字を明確にすることで、お店の実態が明らかになっていきます。
このカテゴリー別の数字については、
一昨年のデータと比較して、その売上伸び率を見てみました。
すると、サッカー用品の売上比率は高いけれど、前年より5%の売上ダウン、
野球用品は10%伸びているといったことが分かります。
当然、このお店の力を入れていくべきカテゴリーは野球です。
伸びている商品に力を入れた方が、早期に成果が出ます。
もちろん、売上下位のカテゴリーの中でも、
戦略的に力を入れていく商品があれば、それは社長と話し合いをしました。
そして、このカテゴリー別商品販売戦略に応じて、
売場のレイアウトや陳列スペースも変えるよう検討したのは、自然なことです。
力を入れる商品
続いて、3つ目のカテゴリー内商品群別販売データを売上順に並べ、検討をしました。
例えば、野球カテゴリーなら、スパイク、軟式グローブ、練習用ユニフォーム、・・・
といった順になっています。
その結果、意外なことが分かりました。
どのカテゴリーも、シューズが売上の上位を示しているではありませんか。
売場ではウエアの陳列が目に付きますが、売上はシューズが引っ張っていました。
つまり、このお店はシューズの品ぞろえや販売に強みがあるのです。
そこで、私は特に力を入れるべき商品はシューズだという方針を提案しました。
作成したこれらの表を基に、社長は各商品担当者と打ち合わせに臨みます。
すると、各担当者も自分の意識との違いにびっくりです。
そして、どんな商品に力を入れて販売するかということを
お店全体で共有することが出来ました。
お店の変革の始まりです。
次は「利益」に移ります。
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