伸び悩み、ジリ貧企業は必見! 治した会社から伸びていく「中企業病」対策
フラックスブレイン・コンサルティング
代表 宮林幸洋
第2回 「中企業病」発症のメカニズム
「中企業病」の病原は、トップの強いリーダーシップの影に潜んでいるので、
どの会社にも起こり得ます。
では、どのように発症、進行していくのでしょうか。
初期症状:失われる主体性、育たない思考力
会社のような組織において「強さ」は「権限」に裏付けられています。
トップが厳しく、時に高圧的に振る舞えるのは権限があるからです。
人はよほどのことでもない限り権限者にはおとなしく従います。
少々おかしいと思っても、少々腹が立っても、トップの指示には従います。
そうすることが安全ですし、なにより楽です。
自ら考えて昨日と違うことをする、あるいは他の人を動かすには大きな労力が必要です。
トップの指示を超えたり外れたりして何かをするより、
素直に指示に従ってルーティンをこなしているほうがはるかに楽なのです。
そういうことを長い間続けていると、(裏で文句を言いながらでも)
すっかりトップに依存してしまい、主体性は失われ、思考力が育まれなくなることは
容易に想像できます。
いざ事業環境が一段と厳しくなったといっても、
そのような組織には問題を打開する力は備わっていません。
進行:機能しない中間マネジメント
事業環境が一段と厳しくなって、業績が目に見えて悪化し始めた時こそ
会社が一丸となって難局に立ち向かわなければならないのですが、
中企業病を発症した会社には、
それを難しくする要因がもう一つ出来上がってしまっています。
これまで日々の業務ではトップの指示に従っていればよいわけですし、
熱心なトップは常々現場に出て叱咤激励をしています。
トップが細かなことまで自ら決裁を下すため、
部長や課長といった人たちはほとんど権限というものを持たされていません。
機会が与えられてこなかったわけですから、
管理職にある中堅クラスの人たちの管理(マネジメント)力は成熟していません。
営業や製造といった職能について、個々には優れた力を持っているのですが、
優れた管理者(マネージャー)にはなれていないのです。
部下をコントロールし、チームワークを高めて成果を上げさせたり、
指導育成して人材のスペックアップを図ったりすることができないのです。
そもそも、仕事のできる人は誰かに教えたりやらせたりするより
自分でやったほうが早いわけですし、
たとえ教え好きな人でも、業務が忙しくなってくれば部下に構っている余裕は
なくなってきます。
部下の指導や評価・育成などは気を遣うし、面倒くさいし、やり方も分からないし、
目先のことでいえば非生産的な作業と感じています。
中間マネジメントが充実してこないと、組織力を発揮して戦えないばかりか、
若手の能力向上にも時間がかかり、戦力自体が整いません。
環境変化は待ってくれない
会社が個々人としても組織としてもパフォーマンスが低調なままだからといって、
事業環境の変化は待ってはくれません。
顧客からの価格の下げ圧力は高まり、付帯サービスの要求は強くなる一方です。
ライバルが値下げに踏み切ると、否応なくそのレベルまで追随しなくてはなりません。
価格が下がりコストが上がる・・利幅はどんどん薄くなってしまい、
利益確保のために数量を伸ばす必要に迫られ、儲からないのに忙しくなるばかりです。
いくら昔の成功体験を語ってみても、事業環境が変わったことに対して
会社が変わっていなければ、それは相対的に会社が弱ってきていると捉えるべきなのです。
忙しさが増すことでさらに、考える余裕や部下に目をやる余裕がなくなっていきます。
悪循環の始まりです。
[次へ]