倒産しない会社作り -強い売モノの作り方-
一般社団法人 市場創造研究会 理事
商品企画考房
代表 清水孝洋
掲載日:令和元年11月22日
第3回 製造業の販売不振の原因は
販売不振の原因は、既存の商品やサービスが売れなくなることと、
新商品や新サービスがうまく成功しないこと、この2つが大きな原因です。
以前「プロダクト・ライフサイクル」に触れましたが、
今回は製造業に絞って、販売不振の原因を考えてみたいと思います。
既存商品が売れないのは「環境変化」と「飽き」
商品の導入期には、新しいもの好きの一群が飛びつき、やがて大衆化します。
成熟期には売上・利益ともに最大になります。
成長期は一時的に横ばい(増減が少ない)が続くことが多いようです
衰退期には売上・利益ともに大きく減少します。
これが既存の商品の運命です。
サイクルが1年のものもあれば、30年以上売れているロングセラーもあります。
これらの商品・サービスの寿命であるプロダクト・ライフサイクルの
衰退には以下の要因が関係しています。
1.環境変化
スマートフォンが登場すると携帯ストラップはほぼ無くなりました。
環境が変わると無くなってしまう商品は多いのです。
また、製造委託などを受けている製造業のように元請けに依存している場合は
自社ならではの特徴を備えるか直販等を考えないと
元請けとの取引環境の変化が大きく経営に影響してきます。
2.消費者の飽き
実用性より情緒的な商品に多いのが消費者の飽きです。
どんどん飽きないための対応を継続的にしないと販売が維持できない分野です。
キャラクター商品などが当てはまりますが、
次々と商品を作らないといけないため、継続が大変ですね。
本当は飽きとは縁のない商品を提供するのがベストです。
3.市場代替品の登場
大きな市場で例えると、自動車です。
電気自動車に代替されると、エンジンはなくなっていきます。
エンジン、マフラー、プラグといった市場が、モーターに代替されるのです。
他の身近なもので言えば、写真フィルムです。
デジタルカメラに代替し、
フィルム、印画紙や写真プリントなどの市場は大幅に縮小しました。
しかし、市場がなくなることを予見して、自社の強みを生かすことで、
デジタルカメラ、化粧品、医療用機器などの分野に進出し経営を維持している企業も
あります。
新商品が売れないのは、戦うから
次に新商品がなぜ売れないかです。
現代はモノあまりといわれている時代です。
昔のように消費者の欲しいものはなかなか思いつきません。
だから経営者は、新商品は出してみないとわからないと開き直ってしまいます。
これが、成功する確率を大きく下げているのです。
はや失敗しても仕方ないということを認めてしまっているのですから、
売れなくても文句の言いようがありませんよね。
もうひとつの売れない理由は、売れている商品を真似ることです。
真似をして成功しているような商品も確かにあります。
しかし、後発品が成功する確率は極めて低いのです。
後に紹介しますが、後発品は性能に大きな差がなければ、
価格を安くすることでしか、勝利することはないのです。
価格が安いことは消費者にとっては良いことかも知れませんが、
せっかく投資をして開発した商品がどんどん安売りされていってしまう。
これは企業にとっては大変な損失です。正当な利益をいただけなくなるわけですから。
後発品は、先発企業にも後発企業にも、大きなメリットはないのです。
じゃあ、流行のデジタルマーケティングで売れるようにしよう。
さぁ、その方法で成功するでしょうか。次回でお話しますね。
[次へ]