マテリアルフローコスト会計で経営改善

株式会社フォレスタ経営

代表取締役・中小企業診断士 森 尚子

第5回 エネルギーロスの考え方

 

前回までは、機械加工の例でマテリアルのロスに着目して考えてきました。

今回は、MFCAで着目するもうひとつのロス、エネルギーロスについて考えてみましょう。

機械加工の例(工程3)

工程3は、工程2で出来たシャフト(穴の開いた10cmの棒)を熱処理する工程です。。

 

 

この図のように炉の冷却排熱で配管から熱(エネルギー)が放出されている場合、

放出されている熱(エネルギー)は、製品を作るために使われるエネルギーではありません。

 

つまり、エネルギーのロスが発生しているといえます。

 

対策としては、配管に断熱ジャケットを取り付けることなどが考えられます。

また、熱処理方法を改善することで、環境面と収益に大きく貢献する可能性もあります。

エネルギーロスの考え方

MFCAでは、このようなエネルギーロスも、マテリアルロスと同じように考えます。

 

エネルギーの種類は、燃料や電気などがありますが、

これもマテリアル同様、複数の工程を通して検討する必要があります。

 

燃料を使って発電し、それを送電し、蒸気を作り、タービンを回して発電し、また送電する。

 

全工程を通すと、例えばこんなエネルギーのフローが見えることがありますが、

エネルギー変換、送電、変圧などでエネルギーのロスが発生しています。

 

このようにエネルギーのロスを見える化することによって、

マテリアルと同じような改善が期待できるのです。

まとめ

MFCAは、管理されているロス(仕損品など)だけでなく、隠れたロス(切削屑など)が、

どこで、どのくらい発生しているのかを把握することが重要です。

 

マテリアルの単位は基本的に「重さ」で統一します。

しかしこのとき精度はあまり重要ではありません。

 

切削屑をすべてかき集めて正確に秤で測りましょう、というわけではありません。

 

投入したもの(インプット)と完成したもの(アウトプット)の差を計算すればいいのです。

 

実測値を使うこともありますが、通常は、見積書に記載してある数値や、

取引先の製品カタログなどに掲載されているJIS規格の重量表を使います。

 

あるいは、比重で計算することも可能ですが、

どうしても誤差が生じますので、あまりこだわる必要はありません。

MFCAのススメ

MFCAは企業ごとに取り組む内容が違ってきます。

他社の改善事例はたいへん参考にはなりますが、

なによりも会社が一丸となって取り組むことで、最も効果があがります。

 

現在、環境対策として、リサイクルや有価売却を実践している積極的な企業であれば、

是非、MFCAに取り組んで欲しいと思います。

 

また、コストや手間がかかるという誤解でMFCAに取り組んでこなかった企業も、

是非、この機会に自社の工程を横通しで見直してみてください。

隠れていたロスは宝の山

見えなかったロスが見えるようになることで、

さらなる改善課題という「宝の山」が見つかるはずです。

[完]

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