不動産に関する基礎知識
株式会社東京カンテイ
名古屋支店 不動産鑑定室
不動産鑑定士 波多野 茂
不動産鑑定評価と出会う
「不動産の鑑定評価」をご存知でしょうか?
私は不動産鑑定士として不動産鑑定評価業務に従事しています。
「不動産の鑑定評価とは、不動産の経済価値を判定し、その結果を価額に反映すること」
です。
不動産鑑定士でない者は、不動産の鑑定評価を行ってはなりません。
今回は、不動産鑑定評価を身近に感じて頂くべく、その業務をご紹介したいと思います。
①不動産鑑定士の登録者数
不動産鑑定士は全国に何名いるのでしょうか? 様々な国家資格と比較してみましょう。
ご覧のように不動産鑑定士は他の資格業と比べて少ないことがわかります。
「不動産鑑定士の知合いは一人もいない」という声は、もっともなご意見でしょうか?
②主要業務
不動産鑑定士はどのような依頼者から、どのような業務を請け負っているのでしょうか?
主な業務をその依頼者とあわせてご紹介したいと思います。
Ⅰ.公的機関からの依頼(カッコ内は主な依頼者)
- 地価公示(国)、地価調査(都道府県)
地価公示及び地価調査とは、一般の土地の取引価格の指標とするために、
全国の標準的な土地を選定して価格を判定して発表しています。
地価公示は毎年1月1日時点の価格、
地価調査は毎年7月1日時点の価格を表します。 - 相続税路線価評価(税務署)
相続税路線価とは、相続税や贈与税を評価する場合に適用される価格で、
道路(路線)に土地単価が付設されています。 - 固定資産税標準地評価(地方自治体)
固定資産税路線価とは、固定資産税を賦課するための基礎となる価格で、
道路(路線)に土地単価が付設されています。 - 競売物件や差押不動産の鑑定評価、訴訟案件の鑑定評価(国税局、裁判所)
- 公共用地(道路等)の買収(国、地方自治体)
補償価格算出のための評価
Ⅱ.民間企業などからの依頼
- 企業活動の一環
・・・所有不動産の売却の参考としての鑑定評価
・・・事業用地取得のための客観的資料
・・・企業間の合併に伴い被合併企業が所有する資産価値把握のための評価 - 担保評価(主に金融機関からの依頼)
- 同族間売買、親族間売買
・・・当事者間の恣意性の懸念を排除した第三者による客観的な鑑定評価 - 賃料評価(地代、家賃)
・・・賃料増額または減額交渉のための客観的資料
・・・賃料設定(普通借地権、定期借地権等)のための客観的資料 - 財務諸表用の評価(企業会計上必要とされる評価)
・・・固定資産の減損会計
・・・販売用不動産の低価法の強制適用に伴う鑑定評価
・・・賃貸等不動産の時価評価 - その他
・・・企業清算(残余財産の価額を確定させる)
・・・不動産の現物出資
・・・株式上場に向けての所有不動産の価値把握
Ⅲ.個人からの依頼
- 財産分配に伴う不動産評価(相続、離婚等)
- 訴訟(賃料の増減額請求)
- 隣地売買
③不動産鑑定士への接触
不動産鑑定士に相談したい時にはどうすればよいのでしょうか?
身近に知合いがいなければ、下記の不動産鑑定士協会へ問い合わせてみるとよいでしょう。
愛知県不動産鑑定士協会HP http://www.aichi-kanteishi.or.jp/
岐阜県不動産鑑定士協会HP http://www.kantei-gifu.or.jp/
三重県不動産鑑定士協会HP http://www.ztv.ne.jp/m-kantei/
静岡県不動産鑑定士協会HP http://www.shizuoka-kantei.com/
日本不動産鑑定士協会連合会HP http://www.fudousan-kanteishi.or.jp/
中部不動産鑑定士協会連合会HP http://www.chubukanteirengo.com/
各鑑定業者のHP
④鑑定評価の費用
従来、評価する不動産の所有権価格及び評価類型に応じて「報酬基準」がありましたが、現在では、鑑定評価報酬は業界内で統一されていません。
評価依頼する不動産の所在地・類型・複雑さ・土地面積の大きさ・件数等によっても
報酬額が異なりますので、鑑定業者へ不動産鑑定評価を行うべきかも含め、
費用についてもご相談されるとよいでしょう。
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