相続税対策としての生前贈与

寺尾会計事務所

税理士 寺尾省介


この原稿は平成27年8月8日時点の法令によります。

第2回 基本は「暦年贈与で生前贈与」

暦年贈与の制度と計算

相続税対策としての生前贈与のひとつに、暦年贈与をフル活用する方法があります。

 

暦年贈与は「110万円贈与」とも言われますが、

 

その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与された金額から

110万円を控除した額に、税率を乗じて計算します。

 

平成27年から、贈与税の税率表が一般贈与特例贈与の2つになりました。

 

 

特例贈与の税率表は、直系尊属(祖父母や父母など)から

その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。

 

例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などです。

(夫の父からの贈与には使用できません)

 

一般贈与の税率表は、「特例贈与」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。

例えば、夫婦間の贈与、親から未成年の子への贈与の場合などです。

 

具体的な計算例を見てみると、

祖父母や父母からの特例贈与の方が有利になることがわかります。

 

なお、税率表の中で、黄色の税率が平成26年以前より税率の下がった部分、

桃色の税率が上がった部分です。

 

相続税の試算で算出された相続税率と、贈与税率を比較して、

どのくらい贈与するのが有利か、確認することができます。

暦年贈与の効果

暦年贈与の計算式をご理解いただいたところで、

次に、暦年贈与の効果について具体例を使ってご理解いただきたいと思います。

 

 

スライドで確認いただけますように、

生前贈与をしなかった場合、納付税額は約7000万円です。

 

一方、表の左側;贈与税がかからない範囲内(110万円)で孫4人に贈与した場合、

10年間後には、納付税額の合計は5000万円強となり、約1700万円が節税できます。

 

また、表の右側;500万円を孫4人に贈与した場合、贈与税を納付するにも関わらず

10年後には4000万円も節税されることがわかります。

 

この方法での問題点も、もちろんあります。

  1. 贈与する現金がない(財産のほとんどが不動産)
  2. 不動産を何年もに分けて贈与すると、不動産取得税などの費用がかさむ
  3. 贈与すると子供や孫が現金を使ってしまい、教育的に良くない
  4. 自分の老後も心配だから、現金は贈与したくない

この4つの問題点を解決する生前贈与の方法について、次回、見ていきます。

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