分割協議・遺言の大切さ

寺尾会計事務所

税理士 寺尾省介

 

この原稿は平成28年6月23日時点の法令によります。

第3回 相続税申告における遺言のメリット

遺言と相続税

先回、未分割での相続税申告は納税資金の面から厳しくなることをお話ししました。

今回は、遺産未分割を避けることができる、遺言についてご説明していきます。

遺言の基礎知識

 

遺言の方法には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言があることは

ご存知の方も多いと思います。

 

私はできるだけ公正証書をお勧めしています。

毎年5名から10名ぐらいの公正証書の証人として立会いしています。

 

相続開始後に、遺言と異なる遺産分割協議をする場合もありますが、

これは遺産分割のやり直しではないので贈与税はかかりません。

(遺産分割のやり直しについては第5回もご覧ください)

 

分割協議と違い、遺言の場合は、

相続人以外の人・法人・町内会その他、だれにでも遺産を渡すことができます。

 

最近の寺尾会計の事例でも、子供がいないので世話になった人に財産を遺贈したいとか

医療法人に寄付したいとかいうことがありました。

 

遺産をもらった場合は、もらった側が相続税を払うということにもなりますし、

医療法人の場合は、寄付した人(被相続人)にみなし譲渡所得税がかかるということも

あるので、注意が必要かと思います。

 

また、遺言を作成する際には、遺留分以外に、

相続税額や相続税納税資金なども考慮されると良いと思います。

相続税申告における遺言のメリット

 

遺言のメリットは、なんといっても初めから相続する財産が決まっており、

財産の未分割を避けることができるので、相続税の各種の特例が使えるということです。

 

相続争い、行方不明者などで分割協議が出来ないという事態もあります。

そういった事態で未分割が予想される場合にも、遺言は力を発揮します。

 

更に公正証書遺言の場合は、相続人の印鑑が不要なので、実務的には便利と思われます。

 

但し、銀行実務においては、その遺言が有効かどうか判断できない場合は

相続関係書類を求められます。

 

また、近年では、遺産分割がまとまらず家庭裁判所での調停事件が年々増えています。

裁判所としても悲鳴が上がるということで、

遺言を書いた人には相続税の遺言控除を認めようじゃないか」というのが

昨年末に新聞記事に出ておりました。

現在も検討中ですので、今後、税制の中にも組み込まれるかもしれません。

円満相続と遺言者の想い

さて、遺言者の想いを書いたほうがいいかを、遺言を作成する際に聞かれます。

 

一般的に勧めていないようですが、私は本家相続の場合で、

相続人へ感謝の気持ちを伝え、先祖からの相続財産を代々承継して欲しい場合は、

その想いを前文に書いたほうが良いと考えています。

(具体的な文例については、別ページもご覧下さい。)

 

もちろん、前文については相続人全員に対する感謝の気持ちがないといけないので、

そういうことでなくて何か言いたいことがあるということであれば、

前文は書かない方がいいと、そういう風に思います。

 

但し、公正証書遺言にこの前文を加えようとすると、

「それは付言事項なので、財産の分け方の最後に付け加えていきます」

と公証人に言われるわけですけれども、最初に書かないと意味がないと思いますので

『どうしても最初に書きます』と公証人さんを説得してください

 

「ここだけは公証人に関係ないので、ちょっと席を外してきます」という公証人の方も

いらっしゃるように聞いております。

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