韓国進出・海外ビジネスのポイント
PRコンサルタント
佐々木 和義
第2回 進出形態1「代理店への販売とライセンス提携」
海外への進出形態は、①代理店等への販売、②業務提携、③合弁会社の設立、
④全額出資による子会社や支店に分かれます。
今回は、①代理店等への販売と②業務提携(ライセンス提携)について紹介していきます。
代理店提携
製造業をはじめ、多くの企業が、
現地代理店への販売を通して、海外進出をスタートしています。
代理店取引は、少量であれば入金後、大量であれば信用状を得てから輸出(出荷)するので、
代金回収リスクが小さいメリットがあります。
デメリットは代理店任せになってしまうことです。
ある飲料メーカーが、合弁で食品輸入会社を設立しました。
その後、韓国側がすべての株式を買い取って、日本からの出資はなくなりましたが、
韓国の会社がすべての株式を買い取った理由は、
「日本メーカーの主導権を排除し、自分が売りたい商品だけを扱うため」というものです。
その韓国会社は、合弁解消後も日本ブランドの飲料を専門に扱っていますが、
半数以上をアメリカや中国など安価な第3国の工場で作られた製品を輸入しています。
代理店向け販売は、取扱い製品の選択から販売先や価格など、すべて代理店任せです。
提案はできますが、決定に関わることはできません。
代理店が貴社商品を扱う目的は2つに分類できます。
従来扱っている商品のブランドチェンジとして扱ってくれるケースと、
ラインアップに加えてくれるケースです。
前者のケースだと、主力商品なので積極的に売ってくれますが、
新規取引でそういうケースは稀です。
せっかく代理店契約を結んでも、積極的に販売してくれず、
思うように販売が伸びないことも多々あります。
代理店は利益を得るのが目的です。
短期間で利益が伸びなければ、単なるラインナップのひとつとして、
積極的な販売を行ってくれず、徐々に縮小していくことは珍しくありません。
輸出先を一社とする契約を結んでしまうと、販売が伸びないからといって、
他社に販売することもできず、その独占契約が足枷となってしまいます。
ライセンス提携
韓国の大手食品会社とライセンス契約を締結した中堅食品メーカーがあります。
ライセンス提携とは、
製造技術を供与し、販売益の一部をライセンス料として受け取るものです。
このメーカーは、既存の販売先を脅かさないよう、
相手先の販売を韓国内に限定する契約も付加しました。
ライセンス提携先は、徐々に販売を伸ばし、
日本企業が受け取るライセンス料も徐々に増えました。
そんなある日、突如、提携解除の申し入れがありました。
すべての製法をマスターした韓国のメーカーは、契約解除に伴って支払う違約金と
将来に渡って支払うライセンス料を天秤にかけて、違約金の一時払いを選択したのです。
その日本メーカーは、いまさら他の提携先を探すこともできず、
韓国進出の機会を失ってしまいました。
また、提携が解除になったので、相手企業が第3国へ輸出する可能性も否めません。
すべての技術を提供したあとの契約解除は、ライセンス契約では、よくある話です。
「コアとなる技術」は、海外に供与しないのが鉄則です。
コアとなる技術がなければ、相手はライセンスを手放すことはできないからです。
次回は、海外への進出形態のうち、相手側主導となる合弁会社についてご紹介します。
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