韓国進出・海外ビジネスのポイント
PRコンサルタント
佐々木 和義
第4回 進出形態3 「日本側主導での進出」
海外への進出形態は、①代理店等への販売、②業務提携、③合弁会社の設立、
④全額出資による子会社や支店に分かれます。
今回は、日本側が主導するケース、すなわち、③多数出資での合弁会社の設立と
④全額出資による子会社や支店の場合のメリット・デメリットについてご紹介します。
合弁企業-マジョリティ出資
製品やサービスを輸出する日本企業にとっては、理想的な進出形態です。
合弁相手がもつ販売や流通ルート、人材などの資産を活用できるので、
短期間で販路の確保など、収益をあげることができます。
会社運営はもちろん、製品やサービスや販売先、販売価格など販売戦略についても、
日本側が主導権を握ります。
収益も大半が日本社に帰属するため、合弁相手にとってはメリットが少なく、
安定している相手国の企業はあまり好まない形態です。
表面的には問題がないようにみえても、
課題を抱えている相手先と組んでしまう危険性も孕んでいます。
この形態で成功している企業をみると、
日本側がマイノリティ(少数株主)で設立した合弁企業の出資比率をかえて
マジョリティとなった会社、つまりは日本側が買い取った企業が多いようです。
韓国主導でビジネスを展開したものの、経営が行き詰まってしまったなど、
日本企業が資金を投入して立て直した企業等です。
両者が団結してまとまりやすく、従前を超える成果を得ることができます。
現地事務所
100%出資の現地子会社を設立するか、あるいは、支店を開設します。
いずれの進出形態でも、日本側から見れば、実質的には海外支店です。
合弁先等に配慮する必要がなく、独自に展開できますが、資金や販路など、
合弁先等の支援がないだけに、当初は大変な苦労が伴います。
一般に、現地支店は現地法人と比べると撤退が容易と考えられており、
取引先にとっては継続取引への不安、従業員にとっては継続雇用への不安と
なりかねない形態です。
現地の業務が日本などから出荷した品を輸入して、複数の問屋等に流通させるB to Bは
支店でも十分ですが、
製造やB to Cがメインにあるのであれば、現地で完結できる現地法人の方が、
事業運営は容易です。
許認可の関係で、現地法人に限定されている業種や、支店の方が容易な業種もあります。
事業目的や規模のほか、相手国の法制度で決めると良いでしょう。
ここまで、海外進出の形態別にメリットデメリットを見てきました。
次回からは、海外進出の際に気をつけたい意思決定の注意点について紹介します。
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