ASEAN経済共同体とタイ進出の基礎知識
ASEAN JAPAN CONSULTING 株式会社(日本法人)
Kaigai Advisory Co.,Ltd..(タイ法人)
代表取締役 阿部俊之
第4回 タイの大手財閥の種類と特徴 ~工業系・不動産・建設系企業~
前回の記事はタイの大手財閥、農業・食品・金融分野の解説を行った。
今回は、工業系、不動産、建設系企業を解説していく。
タイには日系企業が数多く進出しているが、
トヨタ、いすゞ、ホンダ、日産、マツダ、スズキ、日野など
ほぼ全ての日系自動車メーカーが進出している。
そして、タイは東南アジアでトップの自動車生産台数を誇る国であり、
アジアのデトロイトとも言われている。
2014年度のタイの自動車生産台数は188万0007台。
電子部品系や精密機器の会社も数多く進出していて、
各工業団地へ訪問すると日系企業の看板が次々と現れる。
2011年のタイ大洪水で日本の製造業が大きな影響を受けるなど、
タイの工場と日本の連携は想像以上につながりが強いのである。
タイの現場で一番難しいと言われるのが、現地タイ人とのコミュニケーション。
失業率が1%を切っている中で
優秀な人材を確保し、育成させるのが非常に難しいとの意見が多い。
同じ会社に勤め続ける文化ではないので、
転職、ジョブホッピングは常にあることも意識しなければならない。
また、タイの地場の企業の成長も目覚ましいものがあり、
日本のスタンダードに追いついている企業も現れているのが現状である。
<6> タイの自動車部品メーカー サーミット・グループ
タイ最大の自動車部品メーカーサーミット・グループは
1977年 バンコク都内で4輪・2輪車向けや家具向けシートの修理、生産を始めたのが
起こり。
創業者のサンサーン・ジュランクン社長はこれまでにサミット・オート・ボディ(SAB)、
サミット・オートシート(SAS)などグループ会社30余社からなる
サミット・オートインダストリーズグループを一代で築きあげた。
自動車部品製造で売上比率は自動車関連が65%、バイク関連が30%、家電関連が5%。
全従業員数15,000人を誇る。
売上規模はグループ全体でおよそ700億バーツ(2,520億円規模)である。
<7> タイのゼネコン大手 イタリアンタイ・グループ(ITD)
同社はタイのゼネコン最大手で
スワンナプーム空港建設事業を大林組、竹中工務店などと共同JVをしたり、
高架鉄道BTSの建設を受注するなど
タイにおける国内インフラ事業、海外ゼネコン事業を担う企業。
海外事業売上比率が40%以上で
インド・バンガロール市の鉄道建設、デリーメトロの駅舎建設事業、
コルカタ空港旅客ターミナルビル建設など幅広い。
<8> タイのゼネコン大手 チョーガンチャーン・グループ(CK)
インフラ基盤である道路、大規模な橋、高速道路、高架鉄道などを建設する。
熊谷組、東急建設などとのJV事業(ジョイントベンチャー事業)も手掛け、
バンコク高速道路(BECL) 高速道路運営事業
バンコクメトロ(BMCL) 地下鉄運営事業
タイ・タップウォーター(TTW) 上水処理事業などを子会社に持つ。
<9> タイの工業団地大手 アマタ・コーポレーショングループ
創業者はVikromKromadit氏。
同社は工業団地内のインフラを整え、海外/国内の製造業を誘致し、
工場用不動産を販売、工場レンタルなどをタイとベトナムで展開する。
チョンブリ県にアマタナコン工業団地、ラヨーン県にアマタナコーン工業団地、
ベトナムにアマタシティビエンホア工業団地をしている。
次回は商業系、サービス系を解説していく。
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