ASEAN経済共同体とタイ進出の基礎知識
ASEAN JAPAN CONSULTING 株式会社(日本法人)
Kaigai Advisory Co.,Ltd..(タイ法人)
代表取締役 阿部俊之
第5回 タイの大手財閥の種類と特徴 ~小売り・商業・サービス系企業~
前回の記事ではタイの財閥の中でも工業系、不動産、建設系企業を解説した。
今回は小売りや商業、サービス系の企業を紹介していく。
タイには既に
欧州の企業を買収したり、病院事業を他国へ展開するなどの動きも始まっている。
例えばセントラルグループでは
イタリアにあるLa Rianscente(ラ・リナシェンテ)社を2011年度に取得、
続いてデンマークのIllum(イルム)社を2013年度に取得している。
2015年度はドイツの同業カーデーベーの株式50・1%を
オーストリアの不動産・小売り大手ジグナから取得すると発表した。
2014年度同グループ全体の売上2490億バーツで
2015年度の総売上目標は2860億バーツであるとしている。
<10> タイ国内商業不動産開発最大手 セントラル・グループ
同社の旗艦企業セントラルパタナー(CPN)は、商業施設の開発、大型不動産開発
セントラルグループのショッピングセンター(SC)開発・運営。
多目的の複合体不動産に投資、開発を手掛ける。
セントラルグループは流通大手として有名で、
Central Retail (小売、流通)を筆頭に
Central Pattana (不動産開発)
Central Plaza Hotel (ホテル・外食産業),
Central Food Retail (Topps スーパーマーケット運営)
Robinson ROBINS (百貨店運営)
Power Buy (家電量販店) などを経営しており、幅広い事業展開をしている。
<11> タイの最大手医療大手 バンコク病院・グループ
バンコクドゥシットメディカルサービス(BDMS) は
バンコクに住む日本人が多く利用している高級私立病院である。
タイに治療目的、療養目的、医療検査などで訪れる外国人の数は180万人を突破。
ホスピタル・ツーリズムの先駆け的な存在である。
バンコク総合病院をバンコク市内に持ち大型病院施設並びに治療施設を持つ。
同病院では積極的にM&Aを進めており、サミティウェート病院、BNH病院など
タイ国内病院の買収を続けて大手病院グループへ成長した。
現在はカンボジアなどにも進出している。
代表のプラサートプラサトーング=オーソット氏は、
バンコクエアウェイズ(BA)の筆頭株主でもある。
<12> タイのテレビ局大手 チャンネル3 BECワールド・グループ
テレビ局である「チャンネル3」やラジオ局では「バンコクFM」を運営。
テレビ番組の視聴率は業界2位。連続ドラマや韓流ドラマを得意としている。
BEC TERO社を中心とする
イベント興業ビジネス、チケット事業、芸能/音楽の配信事業なども展開している。
2012年度の売上は151億バーツ。
代表者はVichaiMaleenont氏で、付近のビルも所有している。
<13> タイの通信大手 サマート・コーポレーション・グループ
サマート創業者のVilailuck財閥が経営する通信財閥。
代表取締役のWatchaiVilailuk氏。
コア事業である通信事業として、2社もタイ証券取引所へ上場させていて、
携帯機器販売・通信事業サマートアイモバイル(SIM)
通信インフラ・構築事業サマートテレコム(SAMTEL)などを展開する。
海外展開事業ではカンボジア、ラオスに進出済みである。
実はタイも2014年度からデジタルTV放送が開始されていて
放送チャンネルも大幅に増加している。
チャンネルが増えた分、娯楽も増え選択肢も増加している。
映画、TV、カラオケのような過去日本で流行した娯楽と同時に
タイにも当然スマートフォンにおけるアプリサービス、インターネットサービスも
次々に現れていて、先行者メリットを活かしたサービスなども増えている。
最終回は日本の中小企業、とタイ進出の事例紹介をしていく。
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