中小企業のコストをかけない、効果的な人材採用・定着・育成法
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フリーライター
吉田典史
第1回 「なぜ、中途採用者は定着しないのか、その本当の理由」
採用試験をする前に徹底した話し合いが欠けている
社員の「採用・定着・育成」は、会社が安定成長をするうえで大切です。
しかし、中小企業ではなかなかできていません。
そこで今回は、人材の「定着促進」をテーマとします。
特に中途採用で入社した人が対象となります。
せっかく入社したのに、数年以内で辞めていくー。
その大きな理由の1つは、
採用試験をする前に関係者間での徹底した話し合いが欠けていること。
社長、役員、管理職などの考えがあいまいなまま
面接試験で「この人ならばいいかもしれない」というフィーリングで
採用を決めていることが多いのです。
これでは、入社後、様々なトラブルが生じます。
今後は、次のようなところをきちんと確認しましょう。
- 採用しようとする人が働く部署の仕事、それぞれの部員の仕事やその質・量
- 採用しようとする人のキャリアや年齢、性別、性格、仕事の経験、スキル、ノウハウ
- 入社後、担当する仕事の質や量
- これまでの経験で、入社後、早いうちに起こりうる問題への対処法
「本当に雇う必要があるかどうか」もあらためて考えたいことです。
欠員が生じたとしても、工夫をすることで今の部員でカバーできることもあるのです。
採用したい人のイメージが浮かんでくるようにする
大切なことは、関係者で徹底して話し合い、採用したい人のイメージが浮かんで
くるようにすること。そして、イメージを皆で共有することです。
あいまいな考えしかもっていない人たちが面接官をすると、
学歴や年齢、性別、雰囲気などで感覚的に選びがちです。
内定を得て入社する人も自分に何が求められているか、などを正確にはわからずに
仕事をするようになるのです。
あいまいな考えのままの管理職は、その人に的確な指導や助言をすることができません。
結局、「人を雇っても、すぐに辞める」の繰り返しとなり、
やがて会社が弱っていくのです。
対策として取り組みたいのは、月に数回は全社や部署ごとで定例会議を開くこと。
その場では、皆が可能な限り、本音で話し合うこと。
全員に発言することを義務付ける一方で、社長や役員は発言しないようにするのです。
日ごろから、社長や役員は、管理職に権限をできるだけ委譲することも大切です。
コストをかけることなく、定着率を上げていく
話し合いをして、皆のイメージしたとおりの人がエントリーしたとします。
その場合、社長や役員は心の奥深くから、「気に入った!」と感じた人を選ぶべきです。
管理職は部下として使いたいか、使いたくないかという直感で選びましょう。
徹底した話し合いをしたことで、
その人の過去の経験やスキル、ノウハウなどに目を奪われてしまいがちです。
実は入社後、この話し合いが早いうちに辞めていく理由にもなるのです。
厳しい見方かもしれませんが、
中小企業では、抜群に優秀な人がエントリーしてくる可能性は高くはありません。
イメージしたとおりの人であったとしても、実はそうでないのかもしれないのです。
入社後、いざ働くと、スキルやノウハウも高いとは言い難いのかもしれません。
その意味では、期待はずれになる可能性はありえます。
そのとき、
本当に好きなタイプの人ならば、自然とその人を受け入れることができるのです。
土壇場では、「心から好きになれるか否か」と自問自答したうえで採用を決めることを
お勧めします。
徹底した話し合いで、採用したい人のイメージを共有したうえでの直感は、
単に「好き・嫌い」という感情で選んでいるわけではないのです。
コストをかけることなく、定着率を上げていくことができる、
ち密な「採用戦略」といえます。
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