次世代経営者へのバトンの渡し方
WITH株式会社 代表取締役
佐々木啓治
第2回 スタートアップは「社員認識の統一」
事業継承がうまくいく会社にするための最初のステップは、
全社としての「認識を統一」することです。
どういうことか。
結論から言うと、「自社のビジョンを明確にする」ということです。
「経営計画がある」は、絵に描いた餅
御社では毎年経営計画などを社員に発表しているでしょうか?
恐らくしていると思います。
こういった質問を多くの経営者にすると「している」と答える方がほとんどです。
では続けてもう一つの質問です。
発表した経営計画には、
ビジョンを達成するための戦略そして戦術が社員の行動レベルまで落とし込んでありますか?
また、毎期社員がその行動をしっかりと遂行しているでしょうか?
この質問をするとほとんどの経営者はNOと言います。
実はこういった会社が非常に多いのです。
- 経営計画でビジョンや数値計画などは発表しているが、
戦略や戦術までは具体的に発表していない。 - 経営計画でビジョンはもちろん戦略や戦術まで発表しているが、
期末に振り返ると社員はその戦略戦術を遂行していない。
上記2つはいずれにしても「全社としての認識が統一されていない」状態を指しています。
この統一がされていなければ、せっかくの経営計画も「絵に書いた餅」になるでしょう。
経営計画に社員を巻き込め!
それでは全社として認識を統一するためには、どのようにすればよいでしょうか。
それは社員を巻き込んで、全社として会社の経営計画を作成することです。
もちろん、数値計画や投資計画など、
経営の根幹に関わる部分に関しては経営者が作成するべきですが、
大事なのはビジョン達成のために遂行すべき戦略や戦術を社員も一緒になって考えることなのです。
なぜか。
それは、人は「体感」することで理解力が圧倒的に高まるからなのです。
カルフォルニア大学の心理学研究所で、以下のような実験結果が発表されています。
人の理解度とアクションとの関連性です。
- 本や資料などを読む 10%
- 実際に見聞きする 50%
- 体感する 80%
- 体感したことを話す 95%
この実験結果が示していることは、
「人は他人が作成したものを読む、また見聞きするだけでは、
内容の半分程度しか理解していない」ということです。
実際に体感し、更にその体感したことを話すことにより理解が深まるのです。
これは多くの会社の経営計画と、行動結果にも表れています。
社長が一生懸命考えた経営計画も、社員に渡して発表しただけでは理解が十分ではなく、
結果的に戦略や戦術を遂行できない組織になってしまう、ということです。
理解が十分でないと、行動しない、
または行動してもその行動が正しくない可能性があります。
つまり大前提として社員全員には、ビジョンを達成するための戦略や戦術を自分達で考え、
体感し、発表してもらうことで理解が深まり、正しく遂行できる組織になるのです。
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