事業承継におけるM&Aの活用

株式会社キャピタル・ソリューション・ビジネス
加納 芳邦

掲載日:平成31年4月3日

第4回 誰に相談、依頼するのか

 

事業承継にM&Aを活用することを決めた場合、誰に相談し、依頼すればよいのでしょうか。

 

相談相手の現状

中小企業庁の「事業承継に関する現状と課題」によると、

後継者問題について「特に相談できる相手はいない」が40%弱で最も多い回答です。

このことより、後継者問題で悩んでも相談する相手がいないため、時間だけが経過し、

廃業に至るケースがあるということがわかります。

 

誰が詳しいのか?

M&Aの活用を決めたとしても、一人で悩んでいては解決しません。

 

最初の相談相手としては、付き合いのある銀行や税理士、弁護士などが多いと思われます。

そうした士業にもそれぞれ分野の得意、不得意があります。

ですから、

M&Aコンサルタントやコンサルティング会社へご相談されるのも一つの有力な方法です。

M&Aコンサルタントは、インターネットで検索して探すこともできますが、

前述の銀行や税理士、弁護士から紹介されるケースもあります。

 

費用はどれくらい?

M&Aの仲介手数料は、非常に気になるところだと思います。
仲介に携わる会社、専門家で異なりますが、
リーマン方式と呼ばれる料金体系を採用しているところが多いです。

株式の譲渡価格に手数料率を掛けて算出する方法で、金額が上がると料率が下がります。

 

例)リーマン方式

株式譲渡価格 手数料率
5億円以下 5.0%
5億円超~10億円以下 4.0%
10億円超~50億円以下 3.0%
50億円超~100億円以下 2.0%

 

相談相手が決まったら

相談相手が決まれば、希望条件をまとめなくてはいけません。

 

金額だけでなく、株式を全部譲渡するのか、一部だけ譲渡するのか、

また自分も暫く経営に残るのか、それともM&Aが決まれば、すぐ退陣したいのか等も

考えなくてはいけません。

 

あまりにも現実から離れた条件は叶いませんが、

ある程度、希望を出しますと、その希望条件で買手先を探してくれます。

 

第3回「M&Aのメリットとデメリット」でも述べましたが、

買手先はすぐに出てくることもありますが、なかなか出てこないこともあります。

買手先を見つけることに、非常に労力と時間がかかります。

 

買手先は出てきても、デューデリジェンスの結果や条件が折り合わないというような理由

で、何度も交渉が決裂し、M&Aが完了するまで数年かかった会社もあります。

 

社長のこだわりが強すぎてすぐに相手が見つからないケースもあります。

 

そういうことを踏まえると、身内や社内に後継者がいない場合、

事業承継を早くから考えないといけません。

M&Aの例

経営状態に不審を持った役員が、顧問弁護士に相談し、

弁護士とともに弊社に相談に来られたことがありました。

 

この案件では、私の知り合いの上場会社がその事業に非常に興味を持ち、

また、デューデリジェンスもスムーズに行われ、とても良い条件で決まりました。

 

M&Aの専門家であれば、案件の情報を多数持っており、またネットワークも広いため、

買手先の候補を複数出してくれる可能性が高くなります。

 

さて、M&Aで事業承継を行うことを決めたら、社内の準備も必要です。

相談相手との話し合いだけでは決まりません。

 

次回、どのような準備をすればよいのかを述べたいと思います。

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