景気指標を読み解き経営に活かす方法
ヒト情報から景気を読み解く
ファイナンシャルプランナー
長谷 剛史
今回の指標
今回は、ヒト・モノ・カネの内「ヒト」に関する主な指標を見ていきます。
給与や残業・求人の増減は消費に大きな影響を与えます。
そこで、「ヒト」の指標をチェックすることにより
「モノ」の売れ行き・製造や在庫管理に活かすことができます。
現金給与総額
上記『今回の指標』で黄色い「現金給与総額」に注目します。
全産業で支払われている現金給与の金額が、
前年同月に比べ増加しているのか減少しているのかを表す指標になります。
11年度はマイナスの月が多いですが、
直近の2月(速報値)は+0.7%とプラスに振れています。
景気回復が少しずつ給与に及んできていることがわかります。
所定外労働時間
上記『今回の指標』で桃色の「所定外労働時間」を確認します。
いわゆる残業代のことです。
モノの増産や減産は、まず正社員の残業で対応しますので、
景気の現状が読める指標になります。
11年度は小幅な動きになっています。
この数字が伸びると残業代が増えていることを表しますので、
給与が増加し消費にお金が回ることになり、景気が良くなっていきます。
有効求人倍率
上記『今回の指標』で緑色の「有効求人倍率」に注目します。
仕事を探している人に対して求人がどれだけあるのかを示した数字で、
具体的には「求人数÷求職者数」で算出され、景気に先行する指標になります。
11年度の直近2月の数字は0.75倍と、09年度の最悪期から脱し、
雇用が回復傾向であることがわかります。
非農業部門の雇用統計(アメリカ)
上記『今回の指標』で水色のアメリカの「非農業部門雇用」を確認します。
世界が注目している指標であり、
経済大国アメリカの景気を反映する一番わかりやすい指標です。
全米の30万社以上の企業等にヒアリングをしてまとめた数字です。
アメリカの企業は業績によって臨機応変に人を増減させますので、
早い段階で雇用者数が減少・増加します。
年間180万人以上・月15万人以上雇用が増加したかどうかで、
景気が良くなっているのか悪くなっているのかを判断することになります。
11年度はリーマンショクの痛手から立ち直り、景気が回復していることがよくわかります。
しかし、3月の数字が予想に反して+12万人と低迷しましたので、
今後順調に景気回復していくのかどうかは4月の数字で判断することになり
非常に重要な数字になります。
日本の景気を先読みし経営に活かすために、
今回取り上げた「ヒト」に関する4つの指標の動向は是非チェックしてください。
今後の売上予想・仕入時期・在庫管理等の経営戦略に活かすことができます。
第4回は、ヒト・モノ・カネの内、「モノ」に関する景気指標を見ていきますので、
楽しみにお待ちくださいね。
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