組織がイキイキする会議術
経営活性化アドバイザー
前沢しんじ
第5回 会議のアイデア(教育会議)
教育会議(講義)
会議は実は最高の教育機関でもあります。
入社1年程度までの社員を定期的に集めて、
先輩社員が経験談や仕事観、また実際の業務の心構え、技術的なことなどを語る会議です。
ここでは、
ある精肉チェーンのベテラン店長が若手社員に講義した教育会議を取り上げます。
ベテラン店長による講義
≪テーマ・・仕事に対する考え方、取り組み方、進め方≫
- 今後何ランクも上げていかなければ生き残れない時代。のんびり構えていてはいけない。
頭で思っていることと現実はちがう。何でもやってみてはじめてわかることが多い。
まずやってみることだ。 - オンリーワンを目指そう。よそが真似できないことをやろう。
強みをどんどん前面に出そう。 - こまめの積み重ねが大きい。
例えば冷蔵庫管理の場合でも、肉にタオルをかけるという簡単なことで
肉質の劣化ロスが防げ、年間にすると大きな利益になる。
これで肉の劣化が3日から5日に伸びた。
またスライサーからこぼれる肉にしても、受け皿をつけるだけでロスが防げる。
そういう細かい積み重ねで粗利が格段に向上した。
できることは何でも考えてやってきた結果だ。
会社全体できめ細かくできるようになったら、まだまだいい会社になる。
ちょっと気をつけたら防げるロスがいっぱいある。 - 人に聞くのもいいが、まず自分で考えてやってみる。体験するのが一番大事なことだ。
- 店はお客様の立場から見て改善してゆく。基本はお客さん中心だ。
その地域のお客さんの要望を生かすことが大事。 - 仕事は嫌々しながらしてはダメだ。目標を持つことが伸ばす秘訣だ。
自分の目標を決めよう。目標があればそのためには何をするかと考える。そのくり返しだ。私自身毎年目標を作っている。 - ミスをしないこと。それがプロだ。気をつければ100%改善できるミスがある。
- 仕事は一人ではできない。周りのことも考えよう。
周りを生かすことが自分を生かすことにつながる。 - 仕事の勉強はとにかく実地体験すること。体験するごとに失敗は少なくなっていく。
- 今お客様は変わってきている。我々は常に勉強しなければならない。
答えはお客様が持っている。それをどんどん聞き出そう。
奥田学校と呼ばれる
こうした会議を定期的に実施しましたが、結果的に店長の名を取って「奥田学校」と呼ばれ、
当時20代であった3代目社長の教育としてその精神面の養育に役に立ち、
また若手社員の仕事に対する意識の向上の基礎になりました。
留意点として、講義前にはその内容を社長に話して了解をとることが必要です。
また社長も出席して受講者といっしょに聞くことも出席者のモチベーションアップに
役に立ちます。
この会議(講義)のポイントは、現場でたたき上げの幹部が話せば実のある話ができること。
最高のコンサルタントは社内にこそいるのです。それが「教育会議」です。
優れた人材はきっと社内にいます。ぜひ再発見してください。
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