フラミッド型組織を構築して、時代に取り残されない組織を作る
ヒューマンパワー研究所代表
高田伸彦
第5回 フラミッド型組織の作り方(1) 危機管理型のフラミット型組織
みなさん、こんにちは。
企業や組織の人材開発、組織運営をお手伝いするヒューマンパワー研究所の高田です。
「フラミッド型組織を構築して、時代に取り残されない組織を作る」の5回目です。
ここまで
- 企業や組織が、時代の変化のスピードに対応しきれなくなり、
その結果、そこに所属する人材たちの能力を不満に思うようになっている - そういう状況の中でピラミッド型組織も、フラット型組織もメリット、デメリットがある
- その「いいとこどり」をするのが、フラミッド型組織である
- まずはそのために今あるピラミッド型組織を進化させて強力なものにし、そのうえでフラット型組織の構築にとりかかろう
という話でした。
今回は、事前情報は十分にお分かりいただけたと思いますので、
いよいよその2つの組織のいいとこどりをした「フラミッド型組織」の作り方です。
「フラミッド型組織」の2つのあり方
2つの組織の「いいとこどり」をした「フラミッド型組織」といいますが、
実はこれには2つのあり方があります。
一つは、平時にはフラット型組織を取りながら、
危急存亡の秋にはピラミッド型組織に変わる、というあり方です。
例えば普段は、各自が自由に動いていても(もちろん、思想と目標に沿ってですが)、いざ企業や組織の危機の時には、自分の考えなどは封印して一歯車になり、
その結果、全組織は一体化して問題に立ち向かう、ということです。
これを、私は「危機管理型のフラミッド型組織」と呼んでいます。
もう一つが、平時においてピラミッド型組織をとっていても、
その中に一部フラット型組織を融合して持っている、という形の組織です。
例えば、組織構造は堅牢にピラミッド型には作るものの、
それとは別次元で有志のプロジェクトなどをつくり、そこで自由に発言し、動ける余地を作る、といったことなどがそうです。
これを「ガス抜き型のフラミッド型組織」と呼んでいますが、
この作り方については次回(第6回目)でご説明します。
ここでは、まず「危機管理型のフラミッド型組織」の運営方法について述べましょう。
「危機管理型のフラミッド型組織」の運営方法
この形をとるために、一番必要なのは、強いトップマネジメントです。
普段は「思想と目標」の伝道師としての活動を取りながら
いざというときには強いリーダーシップを発揮して、
全社、全組織に「この方向で」「この方法で」「全社一丸となって」進め、という号令を
下せる人物が必要です。
もちろん、個人ではなく「経営ボード」としてそのような動きができるのでも構いません。
いずれにしてもそのために重要なのは、
平常時の「思想、目標の浸透」と、
そのトップマネジメントが「率直でうそをつかない」とメンバーに信じられている
ということです。
これはフラット型組織を作るためにも重要ですが、
これがあるからこそ、危機の時に全体が一体化できるのです。
誤解を招くといけませんので、補足しておきますが、
「危機管理型のフラミッド型組織」を作るためには「カリスマ」は必要ありません。
そのような「人格的な」魅力がなくても、
先に書いたような「思想の浸透」「トップマネジメントの一貫性」さえ、
きちんと現実のものとしておけば十分に可能なことなのです。
さて、次回はもう一つの「フラミッド型組織」である
「ガス抜き型のフラミッド型組織」の作り方と運用方法についてご説明します。
※伝道師とは、「思想と目標」を現場に浸透させていく役割という意味です。
※「フラミッド型組織」はヒューマンパワー研究所のオリジナルワードです。
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