部下が育つ人材育成の基礎知識
デライトコンサルティング株式会社
代表取締役 近藤圭伸
第4回 部下育成の基本はOJT
OJTの基本的意義
改めてOJT(On the Job Training)を定義すると、
「仕事を通じて計画的・継続的に、部下・後輩を指導・育成すること」となります。
今更OJTですか、と思わないでください。
OJTは日本においては人材育成の基本であり、企業競争力の源なのです。
質の高いOJTを行っている会社はやはり業績も良い傾向にあると思います。
日本企業の国際競争力が落ちたのは組織のフラット化や成果主義などで、
OJTが低調になったからではないかと思います。
ということで、日本における部下の育成はやはりOJTが基本であり、
強い企業体質をつくり利益を出していくには大変効果があると考えます。
これからのOJT
これまで日本の会社では、仕事の知識、技能、態度などは、
主に上司から部下へのOJTによって、職場で仕事を通じて身につけさせてきました。
ただし、OJTといってもその場その場で仕事に求められる知識や技能などを、
そのつど教えてきたというのが実情です。
これからのOJTは、知識やスキルを教えること以上に、
部下の自立とキャリア形成を支援・サポートすることにあります。
したがって、上司は日ごろの部下と接する機会や場面を活用して、
部下自身に自分が行っている仕事の意味を自覚させ、
自ら積極的に問題解決に当たらせる支援を行うことが必要となります。
OJTの実践は計画的・継続的に行うことがなにより重要です。
計画的・継続的に実践するとは、短期・中期にわたる部下の大まかな成長イメージ
(例.「1年後にはリーダーとして後輩を引っ張っている」など)をもってOJTを行い、
その成長イメージに近づけていくことです。
OJTの5つのステップ
実際に職場で計画的・継続的なOJTを行う場合には、
次の5つのステップを踏むことになります。
【OJTの5つのステップ】
ステップ1
部下の短期・中期にわたる大まかな成長イメージを描く
ステップ2
部下の経験、知識、能力、価値観、仕事ぶりをよく観察し現状を分析する
ステップ3
部下の成長イメージと現状のギャップを埋めるために要素(経験、知識、能力など)ごとに
明確にする
ステップ4
ギャップをいつまでに、どのような方法で一緒に取り組むか、
またどのような仕事を与えるか計画を立てる
ステップ5
定期的にOJTの成果や改善点を部下にフィードバックする
OJTにおいては、
上司は部下に知識や技能を単に身につけさせるということだけではなく、
部下の自立とキャリア形成を支援するということを強く意識して、
実践していただきたいと思います。
また、OJTは上司にとって「観察」「承認」「傾聴」「対話」の実践の場でもあります。
質の高いOJTをすればするほど会社は強くなり、上司と部との信頼関係は強くなります。
次回は「部下育成とPDCA」についてお伝えします。
[次へ]