学校では教えてくれない「ホンモノの資金繰り」の話
キャリアコンサルティングセンター
代表 小林 順一
第1回 いくら赤字決算を続けても資金繰りさえできていれば倒産しません ~資金管理の重要性~
企業経営の要(かなめ)は、なんといってもお金の管理です。
今回は第1回目ですので、
企業経営にあたっての資金管理の重要性について述べたいと思います。
なぜ勘定足りて銭足らずになってしまうのでしょうか
皆さんは「黒字倒産」という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。
これは帳簿の上では儲け(利益)が出ているにもかかわらず、資金繰りに行き詰まり
倒産してしまうことです。
なぜそのようなことになってしまうのでしょうか。
このようなことになる原因の1つは、
入金と出金のタイミングのズレによることがあげられます。
損益計算書では実際に入出金があった時点ではなく
取引が発生した時点で売り上げや仕入れの金額が計上されます。
その時にはまだ実際の売り上げ金(現金)は入金していないにもかかわらず
帳簿には記入されてしまうのです。
だから、損益計算書にいくら売り上げが上がっていても
その入金よりも仕入れや社員の給与や経費などの支出の方がタイミング的に早ければ、
現預金は足りなくなってしまうことがあるのです。
こうした事態を防ぐためにも資金繰りが必要なのです。
倒産・信用不安はどのようにして起こるのでしょうか
先ほどの入出金のタイミングの話以外に長期的に資金繰りを不調にさせる原因があります。
それは
- 代金回収の不調
- 過大仕入による在庫の増加
- 不要不急の設備投資に関わる支払い
- 負債の慢性的過多(自己資本の不足)
- 利益の慢性的不足
- 仕入れ先からの不利な支払条件変更
- 野放図の借入金の返済
- 改善なき一般経費の増加
- 節税なき税金の支払い
- 実力以上の賞与の支払い
等です。
このような状況を野放しにしておくと資金繰りがますます苦しくなり、
支払不能の事態を招き、銀行取引停止に陥り、会社は倒産してしまうのです。
しかしながら、
企業再起の見込みが充分あり、改革の計画が認められ借入に対する担保があれば、
銀行は資金を貸してくれます。
銀行取引を停止されることなく事業の継続が続けられるのです。
ですから、いくら赤字決算を続けても資金繰りさえできれば倒産しないのです。
なぜ連鎖倒産が起きてしまうのでしょうか
企業はお互いに信用で掛け取引(しばらく支払を猶予してもらう取引)をして
事業を行っています。
掛け取引自体は取引を円滑にするために有効な措置です。
その掛け取引で注意すべき点は信用供与した先が倒産すると
そこからの支払をあてにしていた資金がなくなるため自社からの支払ができず、
こちらまで倒産してしまうリスクがあるという点です。
このような事態を防ぐため
- 余裕のある手許資金の確保
- 共済制度(倒産防止共済)に加入
といった対策を立てておくことが必要です。
けれども、取引先が倒産となれば、それは「貸し倒れ」ということになり
その分「損失」扱いです。
その損失が大きいほどその会社にダメージを与えます。
こうしたことにならないように、
取引先を1社にしないで、できる限り分散させることが大切なのです。
常日頃からのこういう対策がいざとなったときに役に立つのです。
■次回のテーマは
<小企業の資金繰り表のフォームは「現金出納帳」がぴったり>
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