環境ビジネスに低リスクで参入する方法
失敗しない収益モデルの詰め方
株式会社エスト・コミュニケーションズ代表取締役
マーケティングコンサルタント
弓削 徹(ゆげ・とおる)
R&Sで製品開発に取り組む
製品開発において、
よくR&D(リサーチ・アンド・デベロップメント)という言葉が使われますが、
私はR&S(リサーチ・アンド・セールス)の実践をおすすめします。
これは、既存の顧客企業などに環境製品やサービスの企画書を見せて意見をもらい、
つくった試作品を持ち込んだりして、よき相談相手となってもらったうえ、
発売後は販売先としても見込んでいく、というやり方です。
協力してもらった1社の後ろには、同様なニーズを持つたくさんの企業が存在します。
上記のような前提をふまえた上で、次に製品のチェックポイントを挙げたいと思います。
環境性 … 環境保全につながる製品か、環境性能が高いか
市場性 … ニーズがあるか、行政が購入を推奨、助成してくれるか
切実性 … どうしてもその製品が必要という企業、業態があるか
経済性 … 顧客の省エネ、節約やコスト削減につながるか
新規性 … 既存商品とは異なるコンセプトがあるか
優位性 … 技術の優位性はあるか
収益性 … 少ししか売れなくても儲かるか
ニッチ性 … 後発の大企業に市場を席巻されてしまう恐れはないか
将来性 … 将来にわたって売れ続けるか
やりがい … 社会的に胸をはれるビジネスか
環境性や市場性などは当然ですが、
「この製品がなければ困る」という切実性はとくに大切な項目。
また、最後のやりがいについても、
「ウチがやらなければどこがやる、この製品は必ず人びとに喜ばれるものになる」
という自負心と思い込みをもって取り組んでいただきたいと思います。
環境製品も工業デザインにこだわる
どんな製品カテゴリーも、
市場が成熟していく過程で工業デザインやカラーが注目されるようになります。
これからは環境製品といえども、
インパクトのある工業デザインやカラーリング、機能性や特長がすぐにわかる形状、
そしてネーミング、ロゴマークなどが重要になってきます。
グッドデザイン賞にも、「環境分野」がとくに設けられました。
ユニークなデザインは、プレスリリースが掲載されるきっかけともなり、
また実物を展示した展示会でも耳目を集めて話題となり、営業しやすくなる効果をもたらします。
商品・サービスを収益に変える方法
ふつうのパッケージ商品と異なり、環境ビジネスにはさまざまな販売のカタチ、
つまり収益の上げ方があります。
*売り方・収益のモデル*
●プラント・モデル … 設備を稼働させ、リサイクルなどの操業をおこなうビジネス
●クレジット・モデル … リースやレンタルなど経費で落とせる月額で設備を販売する
●プリンタ・モデル … プリンタインクのようにフィルター交換やペレット剤販売で稼ぐ
●代書屋モデル … 助成金の情報ぐるみで売り込み、申請の事務手続きも代行
●修理/メンテナンス・モデル
… 設備メンテナンスで長く報酬を得て、さらに次のビジネスにつなげる
●商社/OEMモデル … 他社製品を販売 (逆に自社製品を代理店に拡販してもらう)
●ソリューション・モデル … 製品、部品ではなく顧客の課題に対する解決策を売る
●コンサルティング・モデル
… ニッチな分野を掘り下げた技術、ノウハウなどのソフトサービスを提供する
●通販モデル … エコグッズを通販したり、通販カタログ・雑誌に売り込む
●コラボ・モデル … 1社で完結させず、数企業でより大きな付加価値をつくる
●ブーメラン・モデル … 環境製品を"看板"として提供しつつ、本業も売り込む
●ノーリスク・モデル … 無料お試し、無料診断、成果報酬型で市場を創造する
企業には経費節減の要望があり、消費者にも可処分所得の逓減という事情があるため、
たとえすぐれた機能があっても高額な製品はなかなか売れていきません。
そのようなときは導入しやすい価格でリースやレンタルにしたり、
低額で販売してメンテナンスで利益を確保していくなど、
さまざまな販売方法が考えられるわけです。
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