高収益をもたらす優良顧客の創り方

〜ロイヤルカスタマーは中小企業を救う〜

流通コンサルタント

高橋 秀樹

第2回 商品視点のビジネスから顧客視点のビジネスへ

前回はお客様にフォーカスすることについてお伝えしました。

今回は筆者が体験し見て回った成功例と失敗例から

ビジネスに必要なロイヤルカスタマー創りについて考えていきます。

顧客はいったいどの商品を購入しているのか? =商品視点の商い=

バブル崩壊後の1990年代中盤、

私はセブン-イレブン.ジャパンに在籍していました。

当時のコンビニ業界は急成長を遂げていた時期です。

 

常に顧客ニーズを先取りしていて

不振に喘ぐGMS(総合スーパ-)やディスカウントストアーを尻目に

市場の支持を得ていました。

 

特に、POS(販売時点情報管理)システムが

コンビニの成長に貢献したことは間違いない事実です。

 

何が、いつ、どこで、何個売れたのかを瞬時に把握することで

発注や仕入れの最適化が図れる優れものでした。

 

人気の高い売れ筋商品を大量仕入れしボリューム陳列し

売れ行きの鈍い死に筋商品を排除するという

「単品管理」という概念も

コンビニの成長とともに流通業界に浸透しました。

 

当時はこの「単品管理」の思想を信じて疑いませんでした。
なぜなら、実際にその通りに売上が伸びた為です。

 

コンビニで仕事をする人の殆どは

顧客満足というのは売れ筋商品を欠品させないこと、と同義でした。

この商品をいったい誰が購入しているのか? =顧客視点の商い=

その後、私は2000年代にTSUTAYA本部の

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に入社しました。

 

レンタルビデオと書籍とCDとゲームとカフェとDPEが複合する

大型店に配属されました。

 

そこで私は驚きました。

POSシステムはセブンイレブンの仕組みより遥かに旧式で大型でありましたが、

お客様の情報がスタッフ側のレジ画面に映し出されるのです。

 

会員カードをスキャナーに通すと、

お客様の名前と来店回数や過去利用した商品が表示されます。

 

お客様とカウンター越しに「○○様いつもご利用ありがとうございます。」と、

個客の名前を呼んで接客するだけで無く、

個人的な映画の感想を会話して興味のありそうな作品の情報を

提供できることが可能だったのです。

 

マニュアル通りの接客だけでなく、

スタッフがバリエーションに富んだ応対をして

お客様と映画や音楽の会話を楽しめていました。

 

スタッフのモチベーションも必然的に高く、

エンタメ好きには人気の仕事でした。

 

このことは衝撃的でした。

コンビニのPOSでは、どんな商品が、いつ、どこで、何個売れたかが明確でしたが

TSUTAYAでは「誰が」利用したのかが明確にされていたのです。

商品視点の商いから顧客視点の商いへ

私はこのデータに興味を持ち、

顧客視点で分析を行いお客様とは誰なのか、

どこから来ているのか、優良客はどの様な傾向があるのか、

突然来なくなったお客様はどうなったのかなど、

個人的に研究をする様になりました。

 

次第に個客の顔と名前が一致し売場や街中で会ったときも

自然に会話ができる様になり、

信頼関係を築き個客の要望欲求を知り
売上向上に役立てることができる様になりました。

 

活きた個客の声を店舗経営に活かすことができたのです。

これが私のロイヤルカスタマー創りの原点です。

 

先日ニュースになっていましたが、

10年後なくなる仕事にレジ係や税務申告者などがあります。

ロボットやAI(人工知能)にとって変わるというのです。

 

単純作業をするだけであればセルフレジやロボットで充分です。

 

しかし経営者にとって何よりも重要な顧客との接点を

セルフレジやロボットに任せようというのは

ビジネスの継続を放棄しているに等しい行為ではないでしょうか?

 

システムに多額の投資ができない中小零細企業にとっては、

今こそロイヤルカスタマー創りをしておけば

ロボット化した大資本の企業に対して優位性を保つ事ができるでしょう。

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