高収益をもたらす優良顧客の創り方
〜ロイヤルカスタマーは中小企業を救う〜
流通コンサルタント
高橋 秀樹
第5回 ロイヤルカスタマー創り3つのステップ2 明確にする
貢献度の高いお客様はどの様な方なのか?
前回のステップ1ではお客様は誰なのかを知りました。
実際に作業されてみていかがだったでしょうか?
何となく分かっていたことが明確になったり
全く盲点であったり、いろいろな気づきがあったかと思います。
今回は、売上利益の貢献度の高いありがたいお客様が
どの様な方なのか明確にするということを行います。
前回作成した個客ランキングの表をご用意ください。
ランキング上位から順番に個客にはどの様な属性や傾向があるのか?
どの商品を購入されているのか?地域は?趣味は?服装は?などから
想像力を働かせてプロファイリングしていきます。
何故、自社のサービスや商品を利用して頂いているのかを
徹底的に考える洞察力が必要です。
実際にお客様の声を聞こうということで
顧客アンケートを取ると「近いから」や「安いから」という回答が
上位に占めることがあります。
しかし、利用し続ける明確な理由を当人が気づいていないことが多いので
あまり顧客のアンケートを当てにせず
観察して深く動機を考える必要があります。
上位のお客様の中で類似の傾向をしているお客様が少なからずいるはずです。
このお客様が何故当店を利用してくれているのか?
多額の売上をもたらしてくれているのかを考察してみましょう。
何故利用し続けてくれているのかという理由が
現在の自社の「特徴」であり「ウリ」なのです。
個客から支持されている「特徴」や「ウリ」を
更にブラッシュアップすることがライバルとの差別化になります。
売上をもたらすロイヤルカスタマーは意外な客層かも?
この様な事例があります。
リラクゼーションサロンを経営している店舗が
売上不振に陥っていました。
聞くと20代のOLが主要客であるが
単価も安く回転率も悪いそうです。
チラシやクーポン配布を行うものの効果が薄く
業績は伸び悩んでいました。
このサロンからコンサルの依頼があり、
カルテを基に売上上位者の顧客を調べたところ、
実に売上上位の20%の大多数は50~60代の
主婦層であり売上の貢献度も高いことがわかりました。
しかも2万円前後の客単価で定期的に来店される為、
とても貢献度が高いお客様でした。
しかしながら、客数の総数では20代が圧倒的にいることと
主力技術者や店長は20代OLの来店が多い夜に居る為に、
ロイヤルカスタマーである主婦層の来る
日中の実態を把握できずにいたのです。
この分析の結果、日中の主婦層へのサービス強化やシフトの増強、
そして若者向けのBGMや装飾を変更し
主婦層へ支持される店作りを行いました。
もちろん夜来店する20代OLを拒む訳ではないですが、
無駄な割引クーポンや一見客を相手にする
販促活動を一切行わなくしました。
同時にこのロイヤルカスタマーに
友人を連れてきてもらうキャンペーンを行い、
「類は友を呼ぶ」で同じ様な属性のお客様が来店、
体験し新規客を増やす事にも成功しました。
結果、ロイヤルカスタマー層のボリュームも増えることで
収益は著しく向上し収益性も高まりました。
経営をしていると思い込みをしてしまっていることがあります。
実際に貢献度の高いお客様に気づいていないことがあります。
客観的に分析をして検証をすることをおすすめします。
顧客リストを基に実際に手を動かしてみましょう。
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