中小企業が直面している緊急課題と乗り越え策
株式会社武田マネジメントシステムス
代表取締役 武田 哲男
掲載日:令和元年6月13日
第5回 「業種衰退時の多角化」をどのように成功に導くか
顧客のための『融合』販売・演出を考える
前回のキーワードに『融合』を挙げ、「相乗効果を生む」「髙付加価値を創造する」
「矛盾要素の乗越え」が大切だとお伝えしました。
ちなみに、
最近、食品スーパーとドラッグストアを一体化した店舗が話題になっていますが、
薬の販売は利益率が高いので食品等の価格を下げ、大勢の人達が来店し購入すれば
全体としての業績向上が図れるのです。
これを更に顧客のための『融合』の観点から捉えるとどうなるか、
以下に一例を挙げてみましょう。
- 風邪のシーズン前に「風邪を引きにくい食材」「元気が出る総菜」、
そのための
「調理メニューと料理方法・お料理教室の開催」
「関連食品コーナーの設置」
「各種ビタミン剤」「各ビタミン含有の食材」
「予防マスク」
「子供が帰宅時の手の洗い方講習会をキャラクター・着ぐるみで楽しく行う」
「インスタ映えする撮影コーナー設置」
「子供のお料理お絵かきコンテスト」
「日本のおもてなし文化」
「食事マナー教室」等をつなげ、集めて一体化し『融合』するのはどうでしょうか。 - お客様、お店、学校と一緒に地域社会に貢献する
こうした取組みはいかがでしょうか。
少し『融合』のイメージができましたか。
顧客は誰だろうか
ビジネス関係において「顧客」の概念は様々ですが、
主たる関係は次のようにとらえられています。
- B to C:企業にとっての顧客は消費者・生活者・ユーザー
- B to B:顧客は企業(含・屋号だけの店舗など)
- B to B to C:最終顧客を理解しながら行う企業間取引
- C to C:最終顧客同士の取引(個人が個人対象に中古品を販売するなど)
- 顧客=Stakeholder(消費者・社員・取引先・地域社会・株主・行政など)
この場合B=Business ・C=Consumerです。
上記の3は、例えばメーカーが最終顧客に「不満足度調査」を実施し、
情報の整理・分析を行い、その上で問屋や販売店のサポートをする場合の「顧客」を
意味します。
上記の3で顧客をとらえることにより
今までの単なる売り込み営業から新たな取引の価値が生まれ、
更に営業パーソンの能力向上にも貢献し、働き方改革の一環にもなります。
三方よし(最終顧客・取引先・自社の満足)で、
価値ある顧客満足(Customer Satisfaction=CS)の「女神のサイクル」となるのです。
逆に言えば、売った分だけ顧客を失う取組みは「悪魔のサイクル」です。
「顧客満足」+「従業員満足」=業績向上
ある美容サロンでは、業種衰退下から発展形態をたどりました。
顧客の「グチ」「困っていること」「不満」をキャッチし、これを皆で分析し、考え、
お客様満足につなげ、現在は新業態の総合美容サロンとなり繁盛店になったのです。
ネイル・エステ・フットケア・フェイシャルほかを行い、OEMの化粧品製造・販売、
フォトスタジオ(写真館)、男性美容サロン、保育園などを『融合』したところ、
新規顧客の約90%が現顧客からのご紹介。そしてその顧客の継続率は約90%。
だから宣伝広告費もほとんど不要。
地域では一番高額でも繁盛。
スタッフは、幾つもの仕事を身につけた「多能力者」に育ち、給料も増え続け、
活き活きしているのです。
もちろん常に店舗の業績は継続した右肩上がりです。
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