マテリアルフローコスト会計で経営改善

株式会社フォレスタ経営

代表取締役・中小企業診断士 森 尚子

第1回 マテリアルフローコスト会計とは

マテリアルフローコスト会計とは

マテリアルフローコスト会計(以下、MFCA)は90年代にドイツで開発された

環境管理会計の手法のひとつです。

 

2011年にはISO国際標準規格となりましたので、国内外で大変注目されています。

 

日本では、2000年に経済産業省の「環境ビジネス発展促進等調査研究」で

とりあげられたのが始めです。

その後、経済産業省の事業としてMFCAの普及と研究が継続され、

2011年のISO14051発行の際にも、日本が議長国として活動しました。

 

MFCAの特徴

いままでの環境経営の多くは、コストダウンとのトレードオフとして捉えられがちでした。

 

つまり、環境に配慮するために、コストをかけて廃棄物処理をしたり、

リサイクルに取り組むケースが多かったのが実情です。

 

そのため、

「環境にはコストがかかる」

「大企業向けの管理会計だ」

という印象が根強くありました。

 

しかし、MFCAは観点が少し違います。

 

排出されてしまう廃棄物を上手に処理しよう、という取り組みではなく、

そもそも最初から廃棄物を出さないようにしよう、という取り組みなのです。

 

しかも、

MFCAの一番の特徴は、コストダウンと環境への配慮を両立することが可能である

ということです。

 

もう少し突っ込んで言いますと、

いままでは、「作業工程で出たものを管理(処理)する活動」が中心でしたが、

MFCAは、「作業工程で出る量を減らす活動」になります。

 

「出る」ものとは、廃棄物など製品以外のアウトプットのことです。

 

つまり、製品にならない部分のマテリアル(原材料)やエネルギー(電気やガスなど)の
量を減らすことが目的になります。

出てしまったものではなく、投入するものを減らすことに注目するのです。

 

MFCAは全工程を見える化する方法

ここで重要なのは、設計・調達など、作業現場以外の部門を巻き込んで、

いかに各工程での排出量を減らすかを考えるのがMFCAだということです。

 

「ロスが発生するのは現場ですが、その原因は必ずしも現場ではない。」

この考えが基本になります。

 

また、複数の工程がある場合、ある工程のロスを削減しようとすると、

その前工程を変更しないと、全体の改善につながらないかもしれません。

 

これは、MFCAが全工程の状況が把握できていないとできない改善だからです。

 

このように、

MFCAは、全工程を一貫して「見える化」し、改善し、全体としてロスを削減する手法です。

 

いかがでしょうか。

「そんなに都合よくいくのかな・・・」

「そんなことなら、ずっと前から考えているが・・・」

効率化や環境に前向きに取り組んでいればいるほど、そんな疑問が湧くかもしれません。

 

 

そんな疑問にお答えするために、

次回は、国の施策や実際の取り組み事例について説明します。

 

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