マテリアルフローコスト会計で経営改善

株式会社フォレスタ経営

代表取締役・中小企業診断士 森 尚子

第2回 取り組み事例

 

前回は、MFCAの特徴について説明しました。

今回は、国の施策や実際の取り組み事例について説明します。

国の施策

MFCAは2000年に我が国に紹介され、その後、経済産業省主導で研究・

普及を図ってきました。

 

2002年には経済産業省から「環境管理会計手法ワークブック」が発行され、

企業の環境保全活動と経済活動を結び付ける手段のひとつとして、

MFCAが解説されています。

 

このワークブック発行にあたって導入実験に参加した企業は、

日東電工、田辺製薬、タキロン、キヤノンでした。

 

この参加企業は現在でもMFCAの先進的な事例として成果をあげています。

 

また、MFCAは中小企業・小規模事業者にも有効であることから、

MFCA簡易手法が開発され、より手軽に導入できるようになりました。

最近の動向

最近では、省資源、省エネの観点から、全国で研修やモデル事業の公募が行われるなど、

非常に積極的に取り組まれています。

 

国や都道府県の補助金・助成金を活用しながらMFCAを導入する企業も

少なくありません。

 

それでは次に具体的な取り組み事例をいくつか紹介します。

MFCAの取り組み事例

日東電工株式会社(化学・樹脂成形加工):豊橋事業所(従業員1000人以上)

エレクトロニクス用粘着テープの製造ラインの、溶解、バッチ配合、塗工・加温、

切断、検品・包装の5工程で実施。導入期間4か月。

 

「廃棄物・ロスの発生原因分析」及び「改善施策」を実行し、

約10%の改善が認められました。

 

株式会社信州光電(電気機器):本社工場(従業員100人未満)

自動車用コントロールユニット生産工場で実施。導入期間2か月。

 

部材調達に関わる改善で、購入コスト22%改善

工程に関わる改善で、製造時の運搬距離28.8%削減、生産現場面積40%削減。

 

あさ川製菓株式会社(食料品):本社工場(従業員100人未満)

菓子製品の製造工程で実施。導入期間3か月。

 

数値データとして物量とコストが明確になったことで、

現場担当者の中にムダを出してはいけないという意識が芽生え始めました。

それが、ロス材料を新たな商品として生かしていこうとする行動となって表れました。

出典「マテリアルフローコスト会計(MFCA)導入事例集 ver.2」

経済産業省産業技術環境局:平成21年3月

このように、MFCAはいろいろな業種で有効であることが実証されています。

次回は、具体的な事例を用いて一緒にMFCAの考え方を体験してみましょう。

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